外壁塗装が終わると、施工店から保証書を渡されます。多くの方は、これで家自体に保証が付いたと感じるのではないでしょうか。ですが保証書の中身をよく見ると、宛名の欄に施主のお名前が入っていることに気づきます。つまり保証は「この家」ではなく「この人と施工店との約束」として結ばれているケースが少なくないのです。
普段暮らしている分にはあまり意識しない部分だと思います。ところが家を人に譲ったり、売却したりする場面になると、この違いが急に重みを持ってきます。
長野県のあるご家族から伺った話です。ご両親が元気なうちに外壁塗装をされていて、施工から数年後にご実家を手放すことになりました。新しくその家に住まれた方が、外壁のわずかな不具合に気づき、ファイルに残っていた保証書を頼りに施工店へ連絡をしたそうです。
ところが施工店からは、保証の対象者がご両親のお名前のままになっていて、名義変更の手続きがされていないため無償対応は難しいという返事だったといいます。ご家族としては「保証書を残しておいたのに」という気持ちが強かったようで、後になってその経緯を私にも話してくださいました。前職で数多くの施主対応をしてきましたが、こうした「引き継ぎ」の落とし穴に気づいていない方は、実は少なくなかったように思います。
ひとくちに保証と言っても、中身はさまざまです。塗料メーカーが発行する保証は、建物そのものに対する保証として比較的引き継ぎやすい傾向があります。一方で、施工店が独自に発行している保証は、契約者本人に対するアフターサービスという位置づけになっていることが多く、譲渡には手続きや届け出が必要になる場合があります。
この違いを契約時にきちんと説明してくれる業者もいれば、保証書を渡すだけで終わってしまう業者もあります。渡す側にとっては「保証書を渡した」という事実の方が大事になってしまい、その中身の性質までは伝えきれていないことがあるのだろうと思います。
ご実家じまいや住み替えを考え始めたときは、保証書を引っ張り出して、名義変更や譲渡の手続きが必要かどうかを一度施工店に問い合わせてみてほしいと思います。連絡先が変わっていたり、施工店自体が形を変えていたりすることもあるので、早いうちに確認しておくに越したことはありません。
弊社でも加盟店の皆さんには、保証書を発行する際に譲渡の可否をきちんと説明するようお伝えしています。渡して終わりではなく、その先の暮らしの変化まで見据えてもらえる業者かどうか。契約前にそんな視点で確認していただくのも、ひとつの目安になるのではないかと思います。