朝の光は青みがかっていて、昼は白っぽく、夕方は赤みを帯びてきます。これは誰でも感覚として知っていることだと思うのですが、それが外壁の色にどう影響するかまで考える方は、正直あまり多くありません。同じベージュ系の塗料でも、朝はグレーがかって見え、夕方になると急にオレンジっぽく温かみを帯びて見える、ということが実際に起こります。
色見本帳の小さな板一枚で判断するだけでなく、時間帯によっても印象が変わるという二重の落とし穴があるわけです。業界に身を置いて長いですが、ここまで意識してお客様にお伝えできている業者は、まだ少ないように感じています。
前職で担当していた頃、長野県のあるお客様から色決定の直後にお電話をいただいたことがあります。「朝、決めた色を見に行ったら思っていたのと全然違う。失敗したかもしれない」と、かなり不安そうな声でした。現地に伺ったのは夕方だったのですが、確かに朝とは印象がまるで違っていて、私自身も少し驚いたのを覚えています。
幸いその方には、着工までまだ日があったので、朝・昼・夕方と三回、実際に見本板を壁に当てて写真を撮っていただくようお願いしました。結果として選び直すことになったのですが、後日「あのとき言ってもらえて良かった」と言っていただけたことは、今でも印象に残っています。こういう小さなやり取りの積み重ねが、この仕事の面白さでもあり、責任の重さでもあるんですよね。
まず、色見本はできるだけ大きなサイズのものを借りて、実際に外壁に立てかけて確認することです。そのうえで、朝・昼・夕方と時間を変えて見てみる。曇りの日と晴れの日でも印象は変わりますので、可能であれば両方見ておくと安心です。
また、家の向きによって光の当たり方が違いますから、南面と北面では同じ色でも見え方が違うということも起こります。担当の方にこのあたりまで説明してくれるかどうかは、その業者が施主の立場に立って考えてくれているかどうかの、ひとつの目安になるのではないかと私は思っています。
色というのは正解がひとつではありませんし、最終的にはご家族の好みで決めていただくものだと思っています。ただ、決める過程で「時間帯によって見え方が変わる」ということさえ知っていれば、防げる後悔は確実にあるはずです。
弊社としても、こうした細かな情報こそきちんとお伝えできる仕組みを大事にしていきたいと考えています。派手な宣伝文句よりも、こういう地味な配慮の積み重ねの方が、結局はお客様の満足につながるのではないかと思うのです。