別荘やセカンドハウスというのは、住んでいる家とは劣化の進み方が少し違います。人がいない時間が長い分、雨戸が閉まったまま湿気がこもったり、落ち葉が溜まって排水が悪くなったりすることが多いんです。山間部の別荘地だと、朝晩の温度差で結露が起きやすく、知らないうちに外壁の塗膜が傷んでいることもあります。
普段住んでいる家であれば、洗濯物を干すときや玄関を出入りするときに、ふと壁のひびや色あせに気づくものです。ところが月に一度、季節に一度しか訪れない家だと、そうした「ながら」の気づきがそもそも起きません。気づいたときにはかなり進行していた、というケースを何度か見てきました。
長野県に別荘をお持ちのお客様から、ある年の秋にお電話をいただいたことがあります。夏の間は管理会社に清掃だけを頼んでいて、外壁のことは特に気にしていなかったそうです。久しぶりに訪れた際、北側の壁に黒い筋のようなものが広がっていて、触ると塗膜が浮いているのに気づいたと。
管理会社は庭や室内の清掃が業務の範囲で、外壁の状態までは報告してくれていなかったんですよね。お客様は「誰かが見てくれているはず」と思い込んでいたそうですが、実際には誰も壁そのものを気にかけていなかった。これは管理会社が悪いという話ではなく、契約の範囲がそこまで及んでいなかっただけなんです。でも、その「はず」のすれ違いで、劣化に気づくタイミングが数年単位で遅れてしまったのは事実でした。
別荘の管理を第三者に委託するのは、決して悪いことではありません。遠方に住んでいれば当然のことですし、むしろ合理的な判断だと思います。問題は、「管理を任せている」という事実が、いつの間にか「誰かが外壁まで見てくれている」という安心感に変わってしまうところにあるんです。
管理会社に頼んでいるのは庭の手入れなのか、建物の外観チェックまで含まれているのか。契約書を見返すと、意外とそこまで明記されていないことが多いです。近隣の方に様子を見てもらっている場合も同じで、「気になったら教えてください」とお願いしていても、相手にとっては自分の家ではないので、よほど目立つ変化でない限り連絡をもらえないものです。
私がお客様にお伝えしているのは、管理を人に任せるのをやめることではなく、年に一度か二度は、ご自身の目で外壁を見る時間を作ってほしいということです。北側や日の当たりにくい面は特に劣化が進みやすいので、そこだけでも確認していただけると、小さな変化のうちに気づけることが増えます。
写真を毎年同じ場所から撮っておくというのも、おすすめしている方法のひとつです。見比べると、自分では気づかなかった色あせやひびが案外はっきり分かるんですよね。別荘だからこそ、普段の家より少し意識的に見る時間を作ることが、結果的に修繕の規模を小さく抑えることにつながると思っています。