外壁塗装は、早くても2週間、天候によっては1ヶ月近くかかることもある工事です。この間、毎日のように足場の上や庭先に、初めて見る顔の作業員の方が出入りすることになります。
短い訪問販売の営業とは違って、これは「毎日、家のすぐそばに人がいる」という状態がしばらく続くということなんですよね。窓を開ければ足場の上に人影がある。洗濯物を干しに出れば、誰かと目が合う。こうした暮らしの変化を、契約時にはあまり想像していなかったというお客様のお話を、私は前職の頃から何度も聞いてきました。
一人暮らしをされていたご高齢の女性から、工事の3日目にお電話をいただいたことがあります。「今日、いつもと違う方が庭先にいたんですけど、あの人は塗装屋さんで合っていますか」というお尋ねでした。
話を伺うと、その方は下請けの応援で急遽入った職人さんで、現場の担当者からの説明が漏れていたようでした。工事自体には何も問題はなかったのですが、お客様にとっては「知らない人が敷地に入ってきた」という、それだけで十分に怖い出来事だったんです。電話口の声が少し震えていたのを、今でも覚えています。
このお話をきっかけに、工事の安心というのは技術や仕上がりだけの話ではないんだなと、あらためて感じました。
外壁塗装の現場には、その日の作業員が何人入るのか、誰が現場代理人なのかという情報が本来あるはずです。ですが、これをお客様に事前共有している業者は、意外と多くありません。
工事前に「当日入る作業員の名簿をいただけますか」「名札や作業服で身元が分かるようにしてもらえますか」と聞いてみることは、決して失礼なことではないと私は思っています。むしろ、こうした要望に嫌な顔ひとつせず対応してくれる業者かどうかは、その会社の現場管理の姿勢を映す鏡のようなものです。
弊社とお付き合いのある加盟店の中にも、初日に作業員全員の顔写真付き名簿をお客様に渡している業者があります。手間のかかることですが、それだけでお客様の表情がずいぶん違うのだと、担当者から聞いたことがあります。
契約前の打ち合わせの段階で、「工事は誰が担当しますか」「毎日同じ職人さんが来るんですか」と聞いてみてください。ここで曖昧な返事しか返ってこない業者は、現場に入ってからも同じように曖昧なことが多いというのが、私のこれまでの実感です。
逆に、担当者の名前や現場代理人の連絡先をきちんと教えてくれる業者、工程が変わるたびに一報を入れてくれる業者は、作業員一人ひとりの動きにも目が行き届いていることが多いように感じます。
特にご高齢の方や一人暮らしのお客様が契約される際には、こうした点を工事前に確認しておくことをお勧めしています。ご家族が遠方にお住まいの場合は、緊急連絡先を一緒に控えておくといった小さな備えも、安心につながるはずです。