3回塗りは本当に守られているのか、外壁塗装の「見えない工程」の話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年6月12日
外壁塗装を依頼するとき、「3回塗りで施工します」という説明を受けたことのある方は多いと思います。でも工事が終わってから、「本当に3回塗ってもらえたのかな」と、ふと不安になったことはないでしょうか。その不安は、決して過剰ではないと私は思っています。

①「3回塗り」が標準とされている理由

外壁塗装には「下塗り・中塗り・上塗り」という3段階の工程があります。それぞれ役割が違っていて、下塗りは塗料を外壁面に密着させるための下地調整の役割を担います。その上に中塗りと上塗りを重ねることで、塗膜に厚みと耐久性が生まれる仕組みです。

この3工程をきちんと守るかどうかで、工事の品質は大きく変わります。表面はきれいに仕上がっていても、塗膜の厚みが十分でないと数年後に剥がれや膨れが出やすくなる、というのは業界ではよく知られた話です。見た目と耐久性は、必ずしも一致しないんですよね。

②「本当に塗ってくれたの?」という不安を抱えたお客様の話

前職でマッチングを担当していた頃のことです。千葉県にお住まいのご夫婦から、工事完了後しばらくして電話をいただきました。「工事中は仕事で家を空けていることが多かったし、業者さんから写真も特に送られてこなかったので、ちゃんと塗ってもらえたのか確認できなくて」というお話でした。

見た目は特に問題なく、クレームというわけでもありませんでした。でも、その「見えない部分への不安」が、工事後もずっと続いてしまっていた。あの電話は今でも記憶に残っています。

それから数年後、同じ方から「外壁の一部に膨れが出てきた」とご連絡をいただきました。原因の特定はできませんでしたが、あの最初のご相談のことが頭をよぎりました。「見えない工程に不安を感じていた」というのは、決して取り越し苦労ではなかったのかもしれない、と。私がこの仕事を続ける上でも、忘れられないエピソードのひとつです。

③「同じ色」では何回塗ったか分からない、という現実

外壁塗装では、中塗りと上塗りに同じ種類・同じ色の塗料を使うケースが多いです。そのため、1回しか塗っていなくても2回塗っても、完成した外壁の見た目はほとんど変わりません。

つまり施主の方は、工事が終わってしまうと「本当に3回塗ってもらえたか」を後から確認する手段がほとんどない。これは外壁塗装という工事の性質上、避けられない部分でもあります。足場に張りついて毎日確認するわけにもいきませんし、信頼して任せるしかない状況に置かれているんですよね。

だからこそ、業者を選ぶ段階と、工事が始まる前の一言が大事になってくる、と私は思っています。

④工事前に伝えておくと安心できること

業界に携わって20年近くになりますが、「事前にこれだけ伝えておくと安心感が違う」とお話ししてきたことがあります。

ひとつは、「中塗りは中塗り専用の塗料、あるいは色を変えた塗料で施工していただけますか」と聞いてみることです。中塗り専用の塗料を使う業者は、工程をきちんと守ることへの意識が高い傾向があります。また、中塗りを別色にしてもらうと、施工写真で「この写真が中塗り後、これが上塗り後」と見分けやすくなるんです。

もうひとつは、「各工程の写真を残していただけますか」とお願いすること。下塗り後・中塗り後・上塗り後、それぞれの段階の写真があれば、工事終了後に工程をたどることができます。最初にこうしたお願いをしておくだけで、業者側の丁寧さも引き出しやすくなる、と私は感じています。

これは業者を疑うためではなく、「安心して任せるための準備」だと思っています。こうした確認に対して嫌な顔をせず、誠実に応じてくれる業者は、それだけ工事への自信を持っているということでもあるんです。

業界のリアル・まとめ

外壁塗装の工程は、施主の方には見えにくい部分が多くあります。工事前に「中塗りの塗料」と「工程ごとの写真」についてひと言お願いしておくだけで、安心感はずいぶん変わってくるものです。信頼できる業者ほど、こうした確認に丁寧に応じてくれる、と私は感じています。

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