外壁塗装は決して安い買い物ではありませんし、下地処理も塗り重ねの工程も、施主が自分の目で確認しづらい部分が多い工事です。だからこそ、契約した業者とは利害関係のない検査士や建築士に、工程の節目で見てもらうという方法を選ぶ方がいらっしゃいます。
やり方はいろいろで、下地処理が終わった段階だけ見てもらう方もいれば、中間と完了の二回に分けて依頼する方もいます。費用はかかりますが、専門知識のない状態で「大丈夫だろうか」と気を揉み続けるより、確認材料を持っておきたいという気持ちは、とてもよく分かります。
前職で担当していたお客様の中に、東北のある地域で二世帯住宅にお住まいの方がいました。契約自体は評判の良い業者とのもので、内容にも大きな問題はなかったのですが、そのお客様は工事の様子を見に行くたびに「これで合っているんでしょうか」と不安げに電話をくださっていたのを覚えています。
結局、そのお客様はご自身で知人を通じて建築士の方に一度だけ現場を見てもらうことにしました。結果として工事自体には特に指摘はなかったのですが、電話口の声が明らかに落ち着かれたのが印象に残っています。工事の正しさそのものより、確認してもらえたという安心感が、そのお客様には必要だったのだと思います。
新築の場合は設計と施工を分けて、第三者が工事監理を行う仕組みが一般的にありますが、外壁塗装のような改修工事では、施工する業者がそのまま最終確認まで担うことがほとんどです。それ自体が悪いわけではありませんが、「施工する人」と「確認する人」が同じという構造は、覚えておいて損はないと思います。
第三者を入れることは、業者を疑うという意味合いだけではないんですよね。良い業者ほど、第三者の目が入ることを嫌がらない傾向があるように感じますし、むしろ工程を丁寧に説明してくれる業者の方が、そうした申し出にも落ち着いて対応してくれる印象があります。
もし第三者インスペクションを検討するなら、契約している業者と直接の取引関係がない検査士を選ぶこと、そして「見てもらう予定があります」と事前に業者へ伝えておくことをお勧めします。当日いきなり検査士が現れると、現場も戸惑ってしまいますから。
タイミングは、下地処理後や上塗り前など、あとから見えなくなってしまう工程の節目が向いています。すべてのお客様に必要なことではありませんが、選択肢として知っておいていただきたいと思い、今回この話を書きました。