業界に身を置いて20年になりますが、この数年で施主さんの暮らし方はずいぶん変わったなと感じています。以前は「平日の昼間はご不在」という前提で工程を組むことが多かったんですよね。営業も職人も、日中は家に誰もいないものだと思って動いていた部分がありました。
ところが今は、自宅の一室で仕事をされている方が本当に増えました。打ち合わせの電話をすると、後ろから「すみません、会議中で」という声が聞こえてくることも一度や二度ではありません。工事を計画する側が、この変化にちゃんと追いついているかというと、正直なところ追いついていない業者も見かけます。
長野県にお住まいのお客様で、ご自宅の一室をオフィス代わりにして働かれている方がいらっしゃいました。契約時には工期と大まかな流れしか伝えられておらず、高圧洗浄の日に大事なオンライン商談が重なってしまったんです。窓を閉めていても水の音は響きますし、足場のシートで部屋が薄暗くなり、画面越しの顔色まで悪く見えてしまったとお聞きしました。
「工程表はもらっていたのに、まさかこんなに影響が出るとは思わなかった」とおっしゃっていて、私はその話を聞きながら、業者側の説明不足を申し訳なく思いました。工程表というのは日付が並んでいるだけで、そこに「この日は音が出ます」「この日は室内が暗くなります」といった生活目線の情報までは書かれていないことがほとんどなんですよね。
外壁塗装の工程は一律に「うるさい」わけではありません。高圧洗浄の日は水音が響きますし、下地処理でケレンやコーキングの作業がある日は打撃音や機械音が出ます。一方で、上塗りの塗装作業そのものは意外と静かなことも多いんです。足場を組む初日と解体する最終日も、金属音が続くので落ち着かない時間になりがちです。
こうした違いを事前に施主さんへ説明できるかどうかは、業者の姿勢が表れるところだと思っています。工程表の日付だけを渡して終わりにするのか、それとも「この週は音が出やすいので、会議は別の部屋か時間帯にずらしていただけると助かります」まで踏み込んで伝えるのか。この一手間があるかどうかで、工事期間中の暮らしやすさはずいぶん変わってくるんです。
在宅で仕事をされている方には、契約前の打ち合わせで「平日はほぼ家におり、決まった時間帯にオンライン会議がある」ということを、遠慮せずに伝えていただきたいなと思います。業者側にとっても、それを知っているのと知らないのとでは、工程の組み方や声かけのタイミングが変わってくるからです。
先日も、別のお客様から「毎週水曜の午前中だけは静かな作業にしてもらえますか」と相談を受けた事例をお聞きしました。すべての希望が通るとは限りませんが、可能な範囲で調整してくれる業者かどうかは、契約前のやり取りである程度見えてくるものです。逆に「工程はこちらで決めますので」と話を聞く姿勢を見せない業者には、少し立ち止まって考えてほしいと思います。
外壁塗装は家を守るための工事ですが、その間も施主さんの生活や仕事は止まりません。特に在宅ワークという働き方が広がった今、音や光、足場の圧迫感まで含めて配慮できるかどうかは、業者選びの新しい物差しになってきているように感じます。
同じ思いをするお客様をもう一人でも減らしたい。そのために、工程表の日付だけでなく、その日その日が暮らしにどう影響するのかまで、丁寧に伝えられる業者と出会っていただきたいなと思っています。