足場代を一回で済ませられる、というのは確かに理にかなった提案です。屋根や外壁の工事で足場を組むと、その費用だけでも決して安くはありません。同じ足場を太陽光パネルの設置工事にも使えるなら、単純に考えて出費を抑えられる、という説明を受けたお客様は多いです。
ただ、ここで少し立ち止まっていただきたいのは、パネルの設置は塗装工事とはまったく別の専門分野だという点です。屋根の上に重量物を載せる工事になりますから、屋根材の種類や勾配、建物の構造によって向き不向きがあります。外壁塗装の営業担当がそのまま太陽光の提案までしている場合、実際の設計や施工は別の会社が入ることも珍しくありません。
忘れられないお話があるんです。長野県のあるお客様から、契約してしばらく経ってからお電話をいただきました。外壁塗装と一緒に太陽光パネルも設置したものの、屋根の保証書と太陽光の保証書、それぞれの但し書きに「相手方の工事によって不具合が生じた場合は対象外」というような文言があり、雨漏りが起きたときにどちらの保証を使えばいいのか分からなくなってしまった、ということでした。
現地を確認させていただくと、原因の切り分け自体はできたのですが、お客様が感じられた不安は、契約書を交わした時点ではまったく想像できなかったものだったと思います。同じタイミングで契約したはずなのに、担当も窓口も別々で、どちらに連絡すればいいのか分からなくなってしまった、というお話でした。
外壁塗装を先にするか、太陽光パネルの設置を先にするかで、後々の手間が変わってきます。先にパネルを載せてしまうと、外壁や屋根の塗り替えのときにパネルを一時的に外す作業が発生し、その分の費用が余計にかかることがあります。反対に、塗装を終えてから数年後にパネルを設置すると、架台の設置で新しい傷や穴が入り、せっかく塗った部分の防水性に影響が出ることもあります。
私がお伝えしているのは、どちらが正解というより、順番によって発生する費用と手間をあらかじめ知っておいていただきたいということです。営業の場でその場で決めるのではなく、一度持ち帰って比較していただく時間があってもいいのではないかと思います。
太陽光パネルの提案を受けたときは、実際に屋根に登って設計・施工を行う会社がどこなのか、保証書の発行元は誰なのか、という点を確認していただくことをお勧めしています。塗装工事の保証とパネル工事の保証が別々の会社から出ている場合、不具合が起きたときの連絡先も分かれることになります。
弊社で加盟店をご紹介する際も、太陽光を扱う会社と組んでいる業者については、実際の施工体制を確認するようにしています。工事内容が増えるほど、お客様が把握しておくべきことも増えていきます。急いで決めなくていい話だと、私はいつもお伝えしています。