長野県のお客様から、以前こんなお電話をいただいたことがあります。「インスタで何万人もフォローされている会社にお願いしたのに、仕上がりに納得がいかない」というご相談でした。その業者さんのアカウントを拝見すると、確かに写真は美しく、動画の編集もプロ並みでした。ですがお客様のお宅を実際に見せていただくと、下地処理の跡が粗く、コーキングの打ち替えも一部省略されていたようでした。
お客様は「発信力があるから、技術力もあるんだと思い込んでいました」とおっしゃっていました。この言葉が今でも忘れられません。発信の上手さと、現場での丁寧さは、まったく別の才能なんですよね。
前職で窓口業務をしていた頃から感じていたのですが、規模の大きい会社ほど、広報や集客の担当と、実際に現場に出る職人さんが完全に別の部署になっていることが多いです。それ自体は悪いことではありません。ただ、発信を見て契約を決めるお客様の多くは、その「発信している人」と「塗る人」が別人だという前提を、あまり意識されていないように思います。
華やかな投稿の裏で、実際に足場に上がって刷毛を握る職人さんがどんな仕事をしているかは、投稿だけでは分かりません。ここに、見え方と中身のギャップが生まれるのだと感じています。
ではSNSをまったく見るなという話かというと、そうではありません。私がお客様にお伝えしているのは、投稿の「数」ではなく「中身」を見てほしいということです。仕上がりの綺麗な写真だけでなく、養生の様子や高圧洗浄、下塗りの乾燥時間まで淡々と載せているアカウントは、隠すことがないという意思の表れだと思っています。
コメント欄でのやり取りも参考になります。フォロワー数の多さよりも、地域のお客様からの具体的な質問に、担当者が現場の言葉できちんと答えているかどうか。そういう細かいところに、その会社の普段の姿勢が出るものです。
発信力がある会社を悪く言うつもりはまったくありません。ただ、フォロワー数や「いいね」の数は、施工品質を保証するものではないというのが、これまで数多くの現場を見てきた実感です。見た目の華やかさの奥にある、下地処理や保証の中身にこそ、目を向けていただきたいと思っています。