外壁塗装の業者選びというと、まず会社としての建設業許可や、設立年数、実績件数といった「会社の顔」に目が向きがちです。もちろんそれは大事な確認事項です。ただ、実際に足場に乗って刷毛やローラーを握るのは、会社ではなく一人ひとりの職人なんですよね。
会社の看板が立派でも、当日現場に入る職人がその会社の社員なのか、外から呼ばれた応援の人なのか、経験は何年なのか。そこまで踏み込んで聞くお客様は、これまでの相談を振り返ってみても、あまり多くはなかったように思います。
塗装の世界には「塗装技能士」という国家資格があります。1級・2級とあって、実技試験も含まれるので、取得には相応の年数と経験が必要になります。ただ、この資格がなくても塗装工事自体は行えてしまうため、資格を持たない職人が現場に立つこともあるのが実情です。
前職で「外壁塗装の窓口」に勤めていた頃、長野県のお客様から工事後にお電話をいただいたことがありました。「仕上がりがどうも波打っているように見えるんです」というご相談でした。現場を確認してもらうと、ローラーの塗り重ね方に厚みのムラがあり、担当した職人は経験が浅い方だったということが後から分かったんです。会社自体は信頼できるところだったのですが、その日たまたま現場に入った職人の経験が浅かった、というケースでした。この出来事は今でも覚えています。
忙しい時期になると、一つの会社だけでは手が足りず、応援の職人に来てもらうことは業界では珍しくありません。悪いことではなく、工期を守るための工夫でもあるんです。ただ、お客様の側からすると「契約時に説明を受けた職人」と「実際に塗ってくれる職人」が違う、ということが起こり得るわけです。
これは業者を責めるような話ではなく、業界の構造として知っておいていただきたいということなんですよね。
見積もりの段階で「担当される職人さんの経験年数を教えてもらえますか」「塗装技能士の資格を持つ方はいらっしゃいますか」と尋ねてみてほしいと思います。誠実な業者であれば、きちんと答えてくれるはずです。逆に、はぐらかしたり不機嫌になったりする業者であれば、それも一つの見極めのサインになります。
先日も、あるお客様から「そんなことを聞いてもいいんですね」と驚かれたことがありました。工事は職人の技術に支えられている以上、聞くことは決して失礼ではないと思っています。