工事が完了すると、多くのお客様が「これで数年は大丈夫」と感じてくださいます。それ自体は間違いではないのですが、「安心したから何もしなくていい」とは、少し違うんですよね。
以前、神奈川県のあるお客様から、工事が終わって2年ほど経った頃にご連絡をいただいたことがあります。「なんか外壁に緑っぽいものが生えてきたんですけど、これは塗装が剥がれてきたんですか」というお電話でした。確認してみると、それはコケやカビの付着で、塗装そのものに問題があったわけではありませんでした。ただ、放置していた期間が長かったことで、その下の塗膜が少しずつ傷み始めていたのです。お客様は「まだ新しいから大丈夫だと思っていた」とおっしゃっていました。その言葉が、今でも記憶に残っています。
塗装は、完了した瞬間から少しずつ紫外線や雨風にさらされていきます。その変化は目に見えにくいからこそ、意識して気にかけてあげることが大切なのだと私は思っています。
これが、前職でのクレーム対応の中で特に記憶に残っている話のひとつです。
DIYが好きなお客様の中には、外壁の汚れが気になったとき、ご自身でホームセンターの高圧洗浄機を使いたいとお考えになる方もいらっしゃいます。「きれいにしたい」という気持ちは、本当によく分かります。ただ、高圧の水流を外壁に当て続けると、塗膜が浮いたり、窓枠まわりのわずかな隙間から水が入り込んで内部を傷めたりするケースがありました。私が担当していた案件の中にも、「自分で洗ったら塗装が一部浮いてきた」というご相談が複数件あったのです。業者側で確認したところ施工には問題がなく、洗い方に原因があるという判断でした。保証の対象外となってしまい、お客様も業者も双方が悔しい思いをされていました。その現場のやり取りを隣で聞いていた私には、今でも忘れられない経験です。
汚れが気になったときは、やわらかいブラシや雑巾に水を含ませて、やさしく拭き取る程度にとどめていただくのが安心です。どうしても洗いたい場合は、まず施工した業者に相談してみてください。
難しいことをする必要はありません。
天気のいい日に、外壁をぐるっと一周見て回っていただくだけでいいのです。「ひびが入っていないか」「塗装が浮いていないか」「窓まわりのコーキングが割れていないか」という目で見るだけ。それだけでも、変化に気づけるタイミングがずいぶん変わります。
特に気にかけていただきたいのは、雨どいの接合部や窓の下あたりです。水が集まりやすい場所なので、傷みが出やすいんですよね。何か気になる変化に気づいたときは、そのまま放置せず、早めに業者へご相談されることをお勧めします。早期に対処できれば、費用も手間も小さくて済むことが多いです。
塗装と同時に施工されたコーキング(シーリング)は、外壁の塗膜よりも早く劣化してくることがあります。これを知らずにいると、外壁の見た目はまだきれいなのに、雨漏りという形で気づかされることになってしまうのです。
前職のある時期、「外壁はそんなに古くないのに、雨が降るたびに室内に染みが出る」というご相談が立て続けに入ったことがありました。確認してみると、いずれもコーキングの劣化が原因でした。触ると表面がぼろぼろになっていたり、細かな亀裂が入っていたりする状態です。外壁の色ばかりに目がいって、コーキングを見落としてしまっていたお客様が少なくなかった、という印象があります。
コーキングは触れてみると状態がわかりやすいので、ぜひ外壁チェックのついでに確認してみてください。弾力がなくなっていたり、亀裂が目立つようであれば、早めに業者へ見てもらうことをお勧めします。