埼玉県のあるお客様から外壁塗装のご相談をいただいたときのことです。築40年近いそのお宅は連棟式の住宅で、隣の家と壁を共有する造りでした。ご本人は「うちは普通の一軒家のつもり」で暮らしてこられたそうです。ところが現地調査に来た業者から「このお宅、お隣とつながっていますね」と言われ、初めて気づかれたそうなんですよね。外壁の一部でつながっている住宅は、外から見ると分かりません。前職で似たご相談を担当したとき、「まさかうちが」と驚かれるお客様の顔を今でも覚えています。
連棟住宅の方からよく伺うのが、色選びの悩みです。明るい色にしたくても、隣が古い色のまま残ると片方だけ浮いて見えてしまうことがあります。「うちだけ真っ白にしたら、継ぎ接ぎみたいになって」と苦笑いされていたお客様もいました。
だからといって我慢する必要もないと思うんです。トーンは大きく変えず、質感で個性を出す選び方をご提案することもあります。
見落とされがちなのが、足場の設置スペースです。敷地の関係で足場の一部を隣地に置かせてもらう必要が出るケースがあり、事前にお隣へ一声かけておくことが欠かせません。何も言わずに始めてしまい、気まずい空気になったという話も耳にします。工事のタイミングも相談しておいた方がいいと感じています。片方が塗ったばかりのところへもう片方が足場を組むと、せっかくの壁を傷つけかねないからです。
劣化が進んでいて隣家の都合を待っていられない、という状況もあると思います。その場合も工事に踏み切ること自体は問題ありません。お伝えしたいのは、色のトーンを極端に変えないことと、着工前にひとこと挨拶をしておくことの二つです。この小さな気遣いの有無で、その後のご近所付き合いは随分違ってくるように思います。
先ほどの埼玉県のお客様も、隣家の方にご挨拶をして、色味も大きくは変えずに工事を終えられました。「気を遣うことが多かったけれど、話しておいて良かった」とおっしゃっていたのが印象に残っています。