先日、あるお客様からこんなお話を伺いました。外壁塗装を終えて、仕上がりにはおおむね満足していたそうです。ただ、サンプルで見た色より少し濃く仕上がったことと、窓のサッシまわりに養生テープの跡が残っていたことが気になっていました。悪い業者だとは思わなかったので、良かった点と気になった点の両方を正直に書いた、星3つの落ち着いたクチコミを投稿したそうです。担当者の対応が丁寧だったことも、きちんと添えていました。
ところが数日後、契約のときに交換した個人の携帯電話に、その業者の担当者から直接連絡が入りました。評価を下げるのではなく、気になる点があれば直接言ってほしかった、という内容だったといいます。言葉づかい自体は丁寧だったそうですが、電話を切ったあと、なんとも言えない重たい気持ちが残ったとおっしゃっていました。誰かに強く責められたわけでもないのに、しばらくスマホを見るのが億劫になった、とも話していました。
最初は謝罪の延長のような口調だったのが、話しているうちに、近所でまたお声がけしたいと思っていたので、という言葉が出てきたそうです。直接的な脅しではありません。それでも、評価をどうにかしてほしいという意図が透けて見えて、断りづらい空気になっていったと聞きました。電話の最後には、また何かあれば直接連絡してくださいね、と柔らかく締めくくられたそうですが、そのあと結局、クチコミを消してしまったといいます。
私自身、前職で似たご相談を受けたことを今でも覚えています。工事後のクチコミをめぐって業者と気まずくなり、それ以来その業者からの電話に出るのが怖くなった、とおっしゃっていたお客様がいました。工事の内容そのものより、工事が終わったあとのやり取りが、その方の中で一番苦い記憶として残ってしまったんですよね。窓口という立場で数えきれないやり取りを見てきましたが、こうした話は決して珍しいものではありませんでした。
業界に身を置いていると、クチコミの重みをよく感じます。良い点も気になった点も、事実として淡々と書かれたクチコミほど、これから契約を検討している方の役に立つものはありません。星の数字だけでは伝わらない、現場の空気のようなものが行間に出るからです。担当者の説明が丁寧だった、養生がきれいだった、逆に連絡が遅かった。そうした一つ一つの実感が、次の誰かの判断材料になっていきます。
もし何か書くなら、感情的な言葉よりも、日付や具体的な状況、できれば写真を添えることをおすすめしています。事実に基づいた記録は、読む人にとって分かりやすいだけでなく、あとから業者側とやり取りになった場合にも、お客様自身を守ってくれるものになるからです。書いた内容に自信を持てるということは、実はとても心強いことなんですよね。
もし業者からの連絡に圧を感じるようなことがあれば、その場で無理に答えを出そうとせず、一度誰かに間に入ってもらうことを考えてほしいと思います。消費生活センターのような公的な窓口もありますし、弊社のように加盟店と施主の間を仲介している立場の会社もあります。一人で抱え込んで、電話が鳴るたびに身構えるような日々を過ごしてほしくありません。
工事が終わったあとの数分の電話で、何年も残る記憶が変わってしまうことがあります。だからこそ、お客様が安心して正直な感想を残せる業界であってほしいと、私は強く思っています。良いクチコミも、厳しいクチコミも、次の誰かのための大切な情報だと受け止められる業界に、少しずつでも近づいていけたらと願っています。