塗料や下地材の中には、独特の匂いを放つものがあります。人間にとっては数日で気にならなくなる程度でも、嗅覚の鋭い犬や、匂いに敏感な猫にとっては落ち着かない環境になることがあるようです。食欲が落ちたり、いつもの場所でじっとせず、家の中をうろうろするようになったというお話を伺ったこともあります。
工事期間中だけ換気を工夫したり、ケージのある部屋を作業から離れた場所に移したりと、小さな工夫で変わることも多いんですよね。可能であれば、工事初日だけでもペットホテルや知人宅に一時的に預けるという選択をされるお客様もいます。無理のない範囲で、という前提ですが。
長野県のお客様から伺った話です。庭でのんびり過ごすのが好きな犬を飼われていて、足場が組まれた初日、いつもの景色が一変したことに強い違和感を覚えたようで、庭に出ようとしなくなってしまったそうです。職人さんの足音やビニールシートの揺れる音にも敏感に反応して、夜になっても落ち着かない様子だったと聞きました。
数日経つとだいぶ慣れてきたそうですが、「工事が始まる前に、こんなに気をつかうとは思っていなかった」とおっしゃっていたのが印象に残っています。人間には数日の我慢でも、動物にとっては生活そのものが変わる出来事なんだなと、改めて考えさせられました。
猫を飼われている福岡県のお客様のお話です。工事が始まってから、職人さんが道具を取りに何度も玄関を出入りするようになり、ある日、少し開いたままになった玄関から猫が外に飛び出しかけたそうです。幸い近所の方が気づいて事なきを得たそうですが、お客様は「あと数秒気づくのが遅かったら」と、しばらく胸をなで下ろせなかったとおっしゃっていました。
普段は締め切っている玄関や窓が、工事期間中は人の出入りで開けっぱなしになりやすい時間帯があります。これは業者側の落ち度というより、単純に想定していない方が多いだけなんですよね。だからこそ、事前に一言伝えておくだけで防げることだと感じています。
私がお客様にお願いしているのは、契約前の打ち合わせの段階で、ペットがいることと、その子の性格を業者に伝えておくことです。物音に敏感なのか、来客に吠えるタイプなのか、脱走しやすい性格なのか。それだけでも、職人さんの動き方や声かけのタイミングが変わってくることがあります。
玄関の開け閉めが多い時間帯を教えてもらったり、庭に一時的なフェンスを設けてもらったり。工事車両の出入りで驚かないよう、あらかじめ散歩の時間をずらすご家庭もありました。どれも特別なことではなく、ちょっとした共有で防げる話ばかりです。