外壁塗装の営業の場で、「月々○円から工事できますよ」と提案される場面があります。金額が大きい分、こうした分割払いの提案はお客様にとってありがたく聞こえるものです。
ただ、この「業者が紹介するローン」には、知っておいてほしい仕組みがあります。業者が提携している信販会社のローンを使う場合、工事代金は信販会社からまとめて業者に先払いされます。お客様はその後、毎月信販会社に返済していくかたちになるのですが、この時点で「業者へのお金の支払い」はすでに完了しているんですよね。つまり、後から工事の仕上がりに不満があっても、「お金はもう払ってしまっている」という状況になってしまうのです。
忘れられない出来事があります。
前職でマッチング担当をしていた頃、工事から数ヶ月後に神奈川県のあるお客様からご連絡をいただきました。「塗装が一部剥がれてきたのに、業者が電話に出てくれない。でもローンの返済はまだ2年以上残っている」というお話でした。元の見積もりより少し高かったそうなのですが、「月々に分けると安く感じて」契約されたとおっしゃっていました。ローンの総返済額を計算してみると、現金で払うより数万円多くなっていたことも、後になって気づかれたと言います。
工事への不満と、お金の損が重なって、本当につらそうでした。私自身、その場では何もお力になれないまま電話を終えてしまいました。あの会話は、今でも頭の片隅に残っています。
営業の場でローンの話が出るタイミングにも、気になっていたことがあります。
工事の内容や金額に十分に納得する前に「ローンを組みましょう」という流れになると、なんとなく断りにくい空気が生まれることがあります。仮の書類を書いたり、手続きが少し進んでしまったりするだけで、「もうここに頼まないといけないかな」という気持ちになってしまうお客様もいらっしゃるようで。心理的に後戻りしにくくなる、という構造がそこにはあるんですよね。
外壁塗装の契約は、工事の内容・金額・業者の信頼性にきちんと納得してからが大前提です。支払い方法の話は、その後でも十分に間に合います。逆に言えば、見積もりの段階でローンの話を急かしてくる業者には、少し立ち止まって考えてみていただきたいと思っています。
分割払いを検討されているなら、業者が紹介するローン以外にも選択肢があることを知っておいていただきたいのです。
地元の銀行や信用金庫が提供しているリフォームローンは、金利や返済条件が信販系と異なることがあります。ご自身で一度確認してみることで、選択肢を比べることができます。また、お住まいの自治体によっては、外壁塗装のリフォームに活用できる補助金制度が設けられている場合もあります(制度の有無・内容は自治体によって大きく異なります)。補助金を活用できれば、借り入れ額を抑えられることにもつながります。
複数の選択肢を持っておくと、業者に言われるままではなく、ご自身で選んでいる感覚が持てます。それだけで、後になって「なぜあのときもっとよく確認しなかったのか」という後悔を防ぐことができると思っています。
外壁塗装を検討されているお客様の多くは、「どの業者を選ぶか」「どんな塗料にするか」には気を遣われます。でも「どう払うか」については、営業の場の雰囲気に流れてしまうことが少なくないように感じています。
私が前職でマッチングを担当していた中でも、支払い方法に関する後悔のご相談は、工事の品質に関するものと同じくらい寄せられていた印象があります。ローンの総返済額を一度計算してみる。業者の紹介以外のローンも確認してみる。たったそれだけで、見える景色が変わることもあります。大切なお家のためのご工事ですから、お金の面でも納得した状態で進めていただけると、私としても嬉しいです。