施主支給の塗料を使った外壁塗装で保証が外れると知らなかったお客様の話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年10月4日
塗料だけ自分で安く仕入れて、塗るのは業者に頼めば節約になる。そう考えるお客様に、ここ数年で何度かお会いしてきました。「施主支給」と呼ばれるこのやり方、悪いものではないのですが、保証の面で見落とされがちな部分があるので、今日はそのお話をお伝えしたいと思います。

①「施主支給」という言葉を初めて聞いたお客様へ

施主支給というのは、工事に使う材料の一部または全部を、業者ではなくお客様自身が用意して工事に持ち込む形のことです。もともとは新築やリフォームの建具・設備でよく使われる手法で、ネット通販で欲しい商品を見つけたお客様が「これを使ってほしい」と業者に渡す、というイメージです。

外壁塗装でもこれをやろうとするお客様に、ここ数年ちらほらお会いするようになりました。塗料メーカーの直販サイトや海外通販で、驚くほど安い塗料を見つけてしまうことがあるんですよね。気持ちはよく分かります。

②山梨県のお客様から相談を受けた話

山梨県にお住まいのお客様から、以前こんなご相談をいただいたことがあります。「ネットで塗料を安く買ったので、これを使って塗ってくれる業者を探している」とのことでした。見せていただいた塗料は確かに悪いものではなさそうでしたが、購入元が個人輸入に近い形で、ロット番号も生産時期も分からない状態だったんです。

私はその場では判断を保留して、何社か施工実績のある業者に聞いて回りました。返ってきた反応はおおむね似ていて、「材料の保証はつけられない」という条件つきでした。業者側からすると、品質を自分たちで確認していない塗料に、メーカー保証と同等の責任は持てない、ということなんですよね。

③なぜ業者はメーカー保証を出せなくなるのか

外壁塗装の保証には、大きく分けて「塗料メーカーが出す材料保証」と「施工業者が出す施工保証」の二つがあります。通常は業者が塗料を仕入れるので、保管状態や使用期限、希釈率まで含めて業者が管理し、その上でメーカーの保証条件を満たした施工になります。

ところが施主支給の場合、塗料がどこでどう保管されていたか、業者には分からないままになります。缶の中で成分が分離していないか、高温の倉庫に長く置かれていなかったか。こうした経緯が不明な塗料に対して、メーカーは保証を出しにくいですし、業者も「材料起因の不具合」と「施工起因の不具合」の切り分けができなくなってしまいます。結果として、数年後に剥離や色あせが起きたとき、どちらの責任かを巡って話がこじれるケースを何件か見てきました。

④施主支給を検討する時に確認してほしいこと

施主支給そのものを否定するつもりはありません。ただ、やるのであれば、契約前に「材料に起因する不具合は保証対象外」といった条件を、口約束ではなく書面ではっきりさせておくことをお勧めします。業者によっては施主支給を一切受け付けないところもありますし、受け付ける場合でも検品や保管の手間賃を別途請求されることもあります。

価格差だけを見て決めるのではなく、保証の範囲がどう変わるのかを、契約前の段階で業者にきちんと確認してほしいと思っています。結局のところ、塗料代で数万円浮いても、数年後のトラブル対応に時間や気持ちを使うことになれば、割に合わないこともあるからです。

業界のリアル・まとめ

施主支給は工夫次第でコストを抑えられる方法ですが、保証の空白が生まれやすい仕組みでもあります。安さだけで判断せず、保証の範囲を契約前に業者と書面で確認しておくことが、後悔しない外壁塗装につながるのではないかと思います。

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