「うちは普通の一戸建てなのに、なぜこんなに足場代が高いんですか」——狭小地や旗竿地にお住まいのお客様から、こういったご相談をいただくことが少なくありません。外壁塗装の見積もりは、建物の大きさだけで決まるわけではないんですよね。足場を組むための通路の幅、隣地との距離、重機やトラックが入れるかどうか。こうした条件ひとつで、同じ延べ床面積の家でも金額が変わってきます。
特に旗竿地は、敷地の入り口が細い通路になっているケースが多く、資材を手運びしなければならないことがあります。トラックから玄関先まで距離があると、それだけ人手と時間がかかり、結果として金額に反映されるわけです。
前職で外壁塗装の窓口をしていた頃、ある密集住宅地にお住まいのお客様を担当したことがあります。お隣との間隔が50センチほどしかない立地で、足場を組むにも隣家の許可と協力が欠かせない状況でした。最初にいただいた見積もりでは足場の項目がざっくりとした金額しか書かれておらず、お客様は「なぜこんなに高いのか分からないまま契約してしまった」とおっしゃっていました。
実際に現場を確認すると、通常とは違う特殊な組み方が必要で、隣家への挨拶や養生にも普段以上の手間がかかっていたんです。事情を丁寧に説明されていれば、お客様も納得して契約できたはずなのにと、今でも心に残っている出来事です。
狭小地や旗竿地にお住まいの場合、見積もりを依頼する段階で、足場の架設方法まで具体的に聞いておくことをおすすめします。「なぜこの金額になるのか」を、現地の写真や図面を使って説明してくれる業者かどうかは、一つの目安になると思います。
お隣の敷地を一時的に借りる必要がある場合は、業者が挨拶や調整をどこまで担ってくれるのかも確認しておきたいところです。ここをお客様任せにする業者だと、工事が始まってからご近所とのやり取りに時間を取られてしまうこともあります。
狭い足場は、職人さんの作業スペースも限られます。安全帯をかける位置や資材を置く場所が十分に確保できないと、作業のしやすさにも影響が出てきますし、工期が延びることもあります。金額だけでなく、狭小地での施工経験がどれくらいあるかという点も、業者を選ぶときの判断材料になるのではないかと私は思っています。