「うちの家が広告塔に」モニター価格の裏側を知らずに契約したお客様を見てきた私が伝えたいこと

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年7月5日
外壁塗装の見積もりに「モニター価格」「施工事例として掲載させてください」という言葉が添えられていることがあります。安くなるのはありがたい話に聞こえますが、その裏にどんな条件が隠れているのか、契約前に一度立ち止まって考えてみてほしいと思っています。施主と業者のマッチングに携わってきた中で、この言葉をきっかけに後悔された方を何人も見てきました。

「モニター価格」の言葉が意味すること

外壁塗装の見積もりを見ていると、「モニター価格でご案内します」「施工事例としてホームページに載せさせてください」という一文が添えられていることがあります。写真を数枚撮らせてもらう程度で数万円の値引きになるなら、双方にとって悪くない取引だと思います。ただ、この言葉の中身は業者によって随分違うんですよね。

中には、着工前の写真から仕上がりまで、工程ごとに何十枚もの撮影に立ち会う必要があったり、ホームページだけでなくチラシやSNS広告にまで使われることが契約書の細かい文字で決まっていたりするケースもあります。値引き額と引き換えに、住所の一部やお名前のイニシャルまで公開範囲に含まれていたという相談を受けたこともありました。値引きの説明だけが強調されて、使用条件の説明が後回しにされている、という状態が良くないのだと思っています。

長野県のお客様からいただいたご相談

忘れられないお話があるんです。長野県にお住まいのお客様から、契約後にお電話をいただいたことがありました。「モニター価格にしてもらったのに、近所の人に工事中の写真をSNSで見られてしまって気まずい」というご相談でした。

話を伺うと、契約書には確かに撮影・掲載についての一文があったそうです。ただ、契約の場では値引き額の説明が中心で、「あとで見返せば書いてあります」という言い方だったといいます。ご本人も納得して署名はされていたのですが、実際に近所の方から声をかけられて初めて、掲載範囲の広さに気づいたとおっしゃっていました。業者側に悪意があったとは思いませんが、説明の順番ひとつで受け取り方は大きく変わるものだと、私自身も考えさせられた出来事でした。

「のぼり旗」や「見本看板」にも同じ構造があります

似たような話で、値引きの条件として「工事中、庭にのぼり旗を立てさせてほしい」「完了後もしばらく見本の看板を置かせてほしい」というお願いをされることもあります。これも撮影と同じで、条件がはっきりしていれば問題のない取引です。

先日も、埼玉県のお客様から「工事が終わって半年経つのに、庭の看板を下げてもらえない」というご相談をいただきました。契約時には「工事後しばらく」としか言われておらず、期間の目安を確認していなかったそうです。撮影にしても看板にしても、値引きという分かりやすい言葉の裏に、期間や範囲があいまいなまま進んでしまう場面があるように感じています。

契約前に確認しておきたいこと

値引きの話が出たときは、金額よりも先に「何を」「どこまで」使われるのかを聞いてみてほしいんですよね。

撮影の範囲は外観だけなのか、室内や表札まで写り込むのか。掲載先はホームページに限られるのか、SNSや広告にも使われるのか。公開や設置の期間に区切りはあるのか、あとから取り下げを頼めるのか。こうした点を一つずつ確認して、口頭ではなく契約書や覚書に書き添えてもらうことをおすすめしています。面倒に感じるかもしれませんが、後から「そんなつもりじゃなかった」とならないための、ささやかな備えだと思うんです。

業界に身を置いてきた者として思うこと

業界歴20年の中で、値引きの仕組み自体を悪者にしたいわけではありません。モニター価格や見本看板をきっかけに、良い施工事例が増え、次のお客様の判断材料になるという良い面もあります。前職で数多くの施主と業者の間に立っていた頃から、良い仕組みほど説明が省略されがちだという傾向は感じていました。

値引きという分かりやすいメリットの陰で、施主側の負担や譲歩が見えにくくなっている場面があるとしたら、それは業界にいる私たちが変えていかなければならないところだと思っています。同じ思いをするお客様をもう一人でも減らしたい、そのために弊社でも、条件のある値引きについては書面での説明を徹底するようにしています。

業界のリアル・まとめ

モニター価格や見本看板は、正しく使えば施主にも業者にもメリットのある仕組みです。ただし値引きの金額だけでなく、撮影や設置の範囲、期間まで確認したうえで契約することが、後悔を防ぐ一歩になると感じています。

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