一般的なご自宅の外壁塗装であれば、天候さえ問題なければ工期はある程度自由に組めます。ところが民泊物件の場合、そうはいきません。すでに数か月先まで予約が入っていることが珍しくなく、キャンセルすればゲストへの返金や口コミ評価への影響も出てきます。
ある業者は「うちのスケジュールが空いているのはこの週です」と一方的に提示してきたそうで、オーナー様はかなり困惑されていました。工事する側の都合だけで日程が決まってしまうと、稼働中の物件を持つ方にとっては死活問題になりかねないんですよね。
長野県のあるオーナー様からお電話をいただいたことがあります。「予約サイトに載せている外観写真と、いま現地に組まれている足場のギャップで、チェックイン前のゲストから問い合わせが何件も来てしまって」という内容でした。写真差し替えの手間もさることながら、宿泊予定の方を不安にさせてしまったことがつらかったとおっしゃっていました。
業者側からすれば足場も養生シートも工事に必要な設備でしかありません。ですが物件を「商品」として見せているオーナー様にとっては、それが集客ページの印象を左右する要素になります。この温度差は、事前にきちんとすり合わせておかないと、工事が始まってから表面化しやすいところだと感じています。
民泊物件は、ゲストが退室したあとに清掃業者が入り、次のチェックインまでに部屋を整えるという流れが日々続いています。外壁塗装のために玄関まわりに資材を置かれてしまうと、この動線が滞ってしまうんですよね。
先日も、清掃スタッフが台車を通せず往生したという話を伺いました。工事車両の駐車位置や資材の仮置き場所について、着工前に運営スケジュールを共有できているかどうかで、当日の混乱はずいぶん変わってきます。
塗装業者にとっては、養生を外すタイミングも足場を解体する順番も、工程上の効率で決めるのが普通です。けれど民泊オーナー様にとっては、完成直後の外観こそ新しい集客写真を撮る絶好の機会でもあります。仕上がったその日のうちに撮影したいという要望を、業者側があらかじめ想定しているかどうかは意外と大きな違いになります。
業界に身を置いて20年になりますが、こうした「工事の理屈」と「事業運営の理屈」がかみ合わないまま進んでしまう現場を何度も見てきました。民泊に限らず、建物を使って商売をされている方すべてに共通する話だと思っています。