外壁塗装の養生というと、窓やサッシ、玄関ドア、車、植木あたりを思い浮かべる方がほとんどだと思います。ですが実際の現場では、電気メーターやガスメーター、水道の量水器ボックスといった小さな設備が、養生リストから漏れてしまうことが少なくありません。透明の検針窓が塗料でうっすら曇ってしまい、数字が読み取りにくくなるケースもあれば、ボックスの蓋そのものがペンキで固まって開かなくなってしまうケースもあります。
施主様からすれば、メーターは自分の持ち物という感覚が薄いですし、業者側も電力会社やガス会社の設備だからと、どこか他人事のように扱ってしまう。この「誰の管轄か曖昧」という空気が、見落としを生んでいるように感じています。
前職で対応していたお客様の中に、工事から一月ほど経ってから連絡をくださった方がいました。検針に来た方から「ボックスの蓋が固くて開けにくい」と言われ、次の請求書に「前月使用量から推定」という注記がついていたそうです。ご本人は塗装のことなどすっかり忘れていて、最初は何が原因か分からず戸惑っていました。
実際に見てみると、蓋のヒンジ部分に塗料が薄く入り込んでいて、蝶番が固着しかけていました。施工した業者に連絡すると、担当者は「そこまでは確認していなかった」と、あっさりしたものでした。悪気があったわけではないんだと思います。ただ、養生の対象としてそもそも意識に上っていなかったんですよね。結局、蓋を清掃してもらい事なきを得たのですが、あのお客様の少し困った声を、今でも覚えています。
現場の職人さんたちと話していると、養生の手順は経験と勘に頼っている部分が大きいと感じます。窓やドアのように毎回必ず出てくる箇所は体に染みついていても、メーターボックスの位置は住宅ごとにばらばらで、勝手口の脇だったり、駐車場の奥だったり、時には植栽に隠れていたりもします。目に入りにくい場所ほど、養生の優先順位が下がってしまうのだと思います。
もうひとつ、検針は月に一度しか行われないという点も見落としを後押ししていると感じます。工事の直後にすぐ不具合が分かるわけではないので、業者側も施主様側も気づくタイミングが遅れてしまう。塗装が完全に乾いて固まったあとに発覚すると、清掃だけでは済まず、部品交換が必要になることもあります。
これから外壁塗装を検討される方には、見積もりの打ち合わせの段階で「メーター周りの養生もお願いできますか」と、一言添えていただくことをお勧めしています。多くの業者は聞かれれば当然対応してくれますし、養生箇所を一緒に外周りしながら確認してくれる業者であれば、なおのこと安心だと思います。
逆に言うと、外周りの確認を丁寧にしてくれるかどうかは、その業者が細部にどれだけ気を配れるかを見る、ひとつの目安になるようにも思います。工事が終わったあとにメーターボックスの様子を一緒に見てもらう、それだけでも防げるトラブルはあるはずです。
メーター周りは、施主様にとっても業者にとっても「自分のものではない設備」という感覚があるぶん、責任の所在が曖昧になりやすい場所だと感じています。工事範囲の華やかな部分に目が行きがちですが、小さな見落としが検針や生活の不便につながることもあります。契約前のひと言で防げることは、遠慮せずに伝えていただきたいと思っています。