分譲マンションにお住まいのお客様から外壁塗装の相談を受けて伝えたいこと

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年7月14日
外壁塗装くらべるには、戸建てのオーナー様だけでなく、時々マンションにお住まいの方からもお問い合わせをいただきます。ですが分譲マンションの外壁は、戸建てとは仕組みがまったく違うのです。今日は、そのすれ違いで困ってしまったお客様の話を通じて、知っておいてほしいことをお伝えします。

「見積もりが欲しい」と言われて、答えに困った話

業界に身を置いて20年、前職では13,000件以上の施主と業者のマッチングを見てきましたが、分譲マンションにお住まいのお客様からのご相談には、戸建てとは違う難しさがあります。戸建てであれば、ご自身の判断で業者を選び、契約して、工事を進めることができます。ところが分譲マンションの外壁は、多くの場合「共用部分」にあたり、区分所有者お一人の意思だけでは動かせないのです。

以前、埼玉県のあるお客様から「ベランダの壁が色あせてきたので、外壁塗装をお願いしたい」とお電話をいただいたことがあります。お話を伺ってみると、そのお客様は分譲マンションの一室にお住まいで、外壁全体の塗り替えをご希望とのことでした。個別に業者へ発注できるものと思い込んでいらっしゃったようで、電話口で「え、勝手にできないんですか」と驚かれていたのを今でも覚えています。「戸建てだとご近所に業者の車が停まっているのをよく見かけていたので、てっきり同じように頼めるものだと思っていました」ともおっしゃっていて、住まい方によって知っている情報にこれほど差があるものかと、あらためて感じた出来事でした。

「専有部分」と「共用部分」、この境目を知ってほしい

マンションの外から見えている壁の大部分は、共用部分にあたります。ベランダについても、管理規約で「専用使用権」が設定されているだけで、所有権そのものは共用部分のまま、というケースが少なくありません。日常的に使っている場所であっても、塗り替えるかどうかを決める権限は、区分所有者お一人にはないのです。専用庭付きの住戸でも同じで、庭そのものは専有部分ではなく、共用部分の一部を専用で使わせてもらっている、という位置づけになっていることが多いようです。

この線引きは管理規約によって細かく違っていて、戸建てのご相談に慣れていた私も、この手のお話を初めていただいたときは戸惑いました。窓枠やサッシまわりのコーキングなど、専有部分のように感じる場所でも、実際には共用部分として扱われていることがあり、判断に迷う箇所がいくつも出てきます。

大規模修繕は、一人で進められるものではない

分譲マンションの外壁塗装は、多くの場合「大規模修繕工事」という形で、管理組合が主体となって進めます。長期修繕計画に沿って積み立てられた修繕積立金を使い、理事会や修繕委員会が業者選定から資金計画までを取りまとめていく流れです。工事の周期はおおむね十数年を目安にしているマンションが多いようですが、これも建物や規約によって幅があります。

戸建てのように「気になったから今すぐ相見積もりを取ろう」という進め方はできず、総会での決議や住民説明会を経て、ようやく着工に至ります。この合意形成にかかる時間の長さに、驚かれる区分所有者の方も少なくありません。先日も、あるお客様から「うちのマンション、修繕の話が出てからもう2年経つのにまだ動きません」とご相談をいただき、個人の力だけではどうにもならないもどかしさを感じました。修繕積立金の額についても、建築当初に想定していた金額のままでは、実際の工事費用に追いつかなくなっているマンションを見かけることがあり、物価や人件費の変化を踏まえた見直しがされているかどうかは、住民にとって気になるところだと思います。

それでも、区分所有者にできることはある

何もできないわけではありません。理事会や修繕委員会に加わり、修繕積立金の残高や長期修繕計画の内容を確認しておくことは、区分所有者であれば誰にでもできます。積立金が不足したまま大規模修繕の時期を迎え、一時金の徴収でもめてしまうというお話も、これまで複数件耳にしてきました。

専用使用部分にあたるベランダの床や手すりなど、管理規約で個人の管理が認められている範囲については、早めに劣化のサインへ気づき、管理組合へ報告しておくことも大切な備えになると思います。共用部分の工事を待つ間に、専有部分側でできる手入れを進めておく、という考え方です。弊社は戸建てのお客様を中心にご案内しているサービスですが、こうしたマンション特有のご相談をいただいたときにも、できる範囲で情報をお伝えできればと考えています。

業界のリアル・まとめ

分譲マンションの外壁は、戸建てとは違う仕組みで守られています。ご自身の一存では動かせないもどかしさもありますが、管理規約や長期修繕計画に目を通しておくだけでも、いざというときの心構えは変わってくると思います。

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