施主さんと業者のマッチングをしていた頃、見積もりを二社、三社と比較する中で必ずと言っていいほど出てくる質問がこれでした。テレビCMで見たことのある会社にすれば間違いないのか、それとも近所で長くやっている工務店の方が融通が利くのか。悩む気持ちは、私もよく分かります。
看板の大きさと、距離の近さ。どちらも一見それらしい安心材料に見えるのですが、実際に工事を終えたお客様のお話を伺っていくと、そう単純な話でもないんですよね。むしろ、この二択で考えること自体が、遠回りになっている場合もあるように思います。
忘れられないお話があるんです。神奈川県のお客様で、大きな看板とCMで知っていた会社に工事を依頼された方がいました。契約時の担当者はとても感じが良かったのですが、いざ塗装が終わって半年後に外壁の一部がふくれてきて連絡したところ、担当者はすでに異動していて、話がなかなか前に進まなかったそうです。実際に塗ったのは提携先の職人さんで、会社としては窓口業務がメインだったと、後になって知ったとおっしゃっていました。
一方で、埼玉県のお客様は、創業から三十年という小さな塗装店に依頼されました。社長さん自身が現場に立ち、工事が終わった後も季節の変わり目に様子を見に来てくれるそうで、「顔が見える関係が一番安心する」とお電話でお話しくださったことを、今でも覚えています。
ただ、地元業者ならいつも安心というわけでもないんです。千葉県のお客様は、近所で評判が良いと聞いた業者に頼んだものの、台風で外壁の一部が傷んで連絡した際、繁忙期を理由になかなか来てもらえず、結局困り果てて別の業者に点検を頼んだとおっしゃっていました。地元だから、大手だから、という理由だけで安心できるわけではないと、あらためて感じた出来事でした。
こうした経験から思うのは、会社の規模そのものは、実はあまり判断材料にならないということです。全国展開している会社の中にも、各支店に責任者を置いて丁寧に対応しているところはありますし、地元の小さな業者でも、下請けに丸投げして連絡がつきにくくなるところもあります。
見積もりの段階で確認していただきたいのは、実際に工事するのは自社の職人なのか、それとも別の業者なのか。担当者が変わる可能性がある場合、引き継ぎの体制はどうなっているのか。工事後に何かあったとき、電話一本でどこまで動いてくれるのか、というあたりだと思います。地元か大手かという看板よりも、この確認の方がよほど大事なんですよね。
地元業者だから何かあってもすぐ来てくれるはず、というのも、思い込みに近い面があります。忙しい時期には地元の業者でも対応が数週間先になることもありますし、逆に全国展開の会社でも、地域担当を固定している場合は驚くほど早く動いてくれることもあります。
業界に身を置いて二十年近くになりますが、規模ではなく「工事後にどう動くと契約書や説明で明言しているか」を確認する方が、結果としてお客様を守ることにつながると感じています。看板の印象だけで選んでしまうと、後になって「話が違う」と感じる場面が出てくることもあるように思うのです。
外壁塗装くらべるをはじめてから、地元の業者と全国展開の業者、どちらも数多く見てきました。私たちが比較の軸にしているのは、規模の大小ではなく、対応の実績や体制、そしてお客様からどのような声が寄せられているかということです。
「地元だから」「大手だから」という先入観をいったん脇に置いて、それぞれの業者が工事後にどう向き合ってきたかを見ていただく。そのお手伝いができればと、日々思っています。