給湯器は外壁に金具で固定されていることがほとんどで、塗装業者からすると「養生して避ける対象」でしかないんです。取り外して塗って戻す、という発想自体があまりないので、打ち合わせの中でわざわざ話が出ることは少ないんですよね。
一方でお客様の側も、外壁の色や塗料の種類には強い関心を持っていても、給湯器の寿命までは意識していないことが多いです。前職で13,000件以上のマッチングに関わってきましたが、給湯器の話が見積もりの場に出てくるのは、正直かなり稀でした。
長野県にお住まいのお客様から、こんなお電話をいただいたことがあります。外壁塗装を終えて半年ほど経った頃、給湯器が壊れてお湯が出なくなり、慌てて設備業者を呼んだそうなんです。見てもらうと「もう寿命なので交換しましょう」と言われ、工事の日程を組んでもらったのですが、そこで気づいたのが、交換の際に足場が必要になる位置に給湯器があるということでした。
結局、塗装のときに組んだ足場をわざわざもう一度組み直すことになり、足場代だけで数万円が余分にかかってしまったそうです。お客様は電話口で「あのとき業者さんに給湯器のことも聞いておけばよかった」と、少し悔しそうにおっしゃっていました。忘れられないお話のひとつです。
給湯器の寿命はおおむね10年前後と言われていて、使用状況によって前後します。外壁塗装のタイミングでちょうど設置から8年、9年が経っているお宅であれば、設備業者に一度点検を依頼してみるのも一つの手だと思います。
塗装業者との打ち合わせの際に「給湯器の交換予定はありますか」とひとこと聞かれるだけで、お客様は自分の家の設備を見直すきっかけになります。逆に言えば、その質問をしてくれる業者かどうかも、家全体のことを考えてくれているかを見極める一つの材料になるのではないかと思っています。
足場を組むという工事は、外壁塗装のためだけに存在しているわけではありません。給湯器の交換のほか、屋根まわりの点検やアンテナ工事など、高所に関わる作業全般に使える機会でもあるんです。せっかく足場代を払うのであれば、その期間にできることをまとめて確認しておくのは、無駄のない選択だと感じます。
ご家庭によって設備の状況はさまざまなので、一律に「一緒にやるべき」とは言えません。ただ、外壁塗装の相談をいただいた際には、給湯器やその他の設備の年式も含めて、一度振り返っていただけたらという気持ちで、この話をお伝えしています。