外壁塗装の工程で必ず行われる高圧洗浄。長年の汚れや古い塗膜を落とすために、家一軒あたりかなりの水を使います。水量自体は業者や現場の広さで変わりますが、想像以上に多いんですよね。
この水、塗料の粉や汚れ、古い塗膜のカスを含んだまま、そのまま地面や側溝に流れていきます。ご自宅の敷地内で完結すればまだいいのですが、地面の傾斜や配管の関係で、隣の敷地に流れ込んでしまうことがあるんです。
特に住宅が密集している地域や、お隣との間隔が狭いお宅では、この排水の行き先というのはかなり大事な問題になってきます。工事前に意識される方は、実はそう多くありません。
忘れられないお話があるんです。群馬県にお住まいのお客様が外壁塗装を終えられて数週間後、お隣の方から「家庭菜園の野菜が急に元気がなくなった」と相談を受けたそうなんです。
調べてみると、工事中の高圧洗浄の排水が、塀の隙間から隣の畑に流れ込んでいたことが分かりました。塗膜のカスや汚れを含んだ水が土に混ざり、野菜の生育に影響したのではないかと考えられたのです。業者に確認すると、排水養生は「一応やっている」というレベルで、具体的にどこへ水を逃がすかまでは詰めていなかったそうです。
お客様は「まさか野菜にまで影響するとは思わなかった」と、申し訳なさと戸惑いの入り混じった声で話してくださいました。ご近所との関係も気まずくなってしまい、結局は謝罪と土の入れ替えという形で収めることになったと聞いています。
業者によっては、高圧洗浄の排水をどこに流すか、あらかじめ現地調査の段階で確認し、必要に応じて土のうやブルーシートで水の流れをせき止める養生をしてくれます。ペットの水飲み場や井戸、雨水マスの位置まで気にしてくれる業者もいますし、そこまで考えていない業者もいるようです。
契約前に「高圧洗浄の排水はどこに流れますか」「隣の敷地に影響しそうな場所はありますか」と一言聞いてみるだけで、業者の姿勢はかなり見えてきます。曖昧な返事しか返ってこない場合は、少し注意した方がいいかもしれません。工事の説明の中でここまで触れてくれる業者は、細部への配慮ができる業者だと私は感じています。
高圧洗浄は塗装の仕上がりを左右する大事な工程ですが、その裏側で近隣に思わぬ影響を与えてしまうことがあります。工事の主役である外壁だけでなく、水の流れ先まで気を配ってくれる業者かどうか、施主の立場からも一度確認していただけたらと思います。