前職で外壁塗装の窓口を担当していた頃、あるお客様から不安げなお電話をいただいたことがあります。埼玉県にお住まいの60代の女性で、契約前に念のため建設業許可の番号を調べたところ、登録会社名と、営業担当の会社名がどうも違うというんです。
確認すると、その会社は許可を持たず、別の建設会社の番号を借りて「許可あり」とうたっていました。いわゆる名義貸しです。工事は下請けの職人が行い、責任の所在があいまいになる構造でした。お客様は「危うく気づかずに契約するところでした」とおっしゃっていて、その声を今でも覚えています。
外壁塗装は、工事の規模によっては建設業許可がなくても請け負えます。それでも大きな工事を扱う会社ほど、許可を持つことを営業の安心材料にしたい気持ちが働くものです。
許可取得の手間を惜しみ、すでに許可を持つ知り合いの会社に名義だけ借りる、というケースが業界の一部に存在します。建設業法で禁じられている行為ですし、大半の業者はきちんと自社の許可を取得しています。こうした一部の例があることは、施主の側も知っておいたほうがいいのではと感じています。
確認の方法は、思うほど難しくありません。国土交通省や各都道府県が公開している建設業者検索のページで、許可番号や商号を入力すれば、登録会社名を調べられます。
名刺の会社名と検索結果の会社名が一致しているか。この一点だけでも、契約前に確かめる価値があると思います。名前が違っていたりヒットしなかったりする場合は、遠慮なく理由を尋ねてみてください。
施主お一人での確認は手間がかかり、何を見ればいいか分からないという声もよく耳にします。弊社では加盟店の審査段階で許可証を確認していますが、それでも「ご自身の目で確かめたい」という方には検索の仕方をお伝えすることもあります。
小さな確認の積み重ねが、大きなトラブルを防ぐことにつながります。もう一人でも同じ思いをするお客様を減らしたい、そんな気持ちで今日はこの話をお伝えしました。