工事が全て終わると、業者さんから「最後にご確認をお願いします」と声をかけられる場面があります。足場が外れ、養生シートも片付けられ、家がすっきりした姿を見せてくれる瞬間です。多くのお客様がここでほっとされるんですよね。長かった工事期間が終わる安堵感で、細かい部分まで見る余裕がなくなってしまう。気持ちはとてもよく分かります。
ですが、この完了検査は「もう終わったことの確認」ではなく、まだ直せる最後のタイミングなんです。ここで気づかなかったことは、業者さんが撤収してしまえば言い出しにくくなりますし、指摘するにも「今さら」という空気が生まれてしまいます。
忘れられないお話があるんです。前職時代、長野県のあるお客様から「業者さんが忙しそうにしていたので、玄関先でざっと見て『大丈夫です』と言ってしまった」というお電話をいただいたことがありました。数日後、雨どいの裏側と勝手口の庇の裏に塗り残しがあることに気づかれたそうです。
業者さんに連絡すると対応はしてもらえたのですが、「あのとき、もう少しちゃんと見ればよかった」とおっしゃっていたのが今も心に残っています。業者さんが悪意を持っていたわけではなく、単純に見落としだったのだと思います。ただ、その見落としに気づく最後のチャンスが、まさにあの立会いの時間だったんですよね。
私が業界にいた頃、経験のあるお客様ほど見ていた場所がいくつかあります。まず色ムラです。日中の自然光の下で、少し離れた位置から壁全体を眺めると分かりやすいと言われています。次に雨どい・軒天・破風板といった付帯部。ここは職人さんの手が届きにくく、塗り残しが起きやすい箇所だと聞いたことがあります。
あとは飛散防止ネットや養生テープの撤去漏れ、コーキングの仕上がり、そして敷地内の清掃状況。塗料の飛び散りや空き缶、テープの糊跡が残っていないかも、意外と見落とされがちです。エアコンの室外機まわりも忘れずに見ておくと安心だと思います。
私がお付き合いのあった加盟店さんの中には、完了検査に30分以上かけて、一緒に壁を歩きながら「ここはこう仕上げました」と説明してくれる方もいらっしゃいました。逆に、書類にサインだけもらってそそくさと帰ろうとする業者さんもいたと聞きます。
もちろん立会いの長さだけで業者の良し悪しは決められませんが、お客様の疑問に付き合ってくれる姿勢があるかどうかは、ひとつの目安になるように思います。気になる箇所があれば、遠慮せずその場で写真を撮っておくこともお勧めしています。後から「言った・言わない」にならずに済みますから。