気温が安定していて、雨も少なく、塗料が乾きやすい。春先という季節は、塗装工事にとって条件の良い時期のひとつだと言われています。年度の変わり目で家のことを見直す方が増える、という事情も重なっているように感じます。
ただ、この時期には花粉というもうひとつの季節要因があります。工期の都合だけで考えてしまうと、思わぬところで暮らしにしわ寄せが来ることがあるんですよね。
前職時代、担当したお客様の中に、ご家族に花粉症の方が複数いらっしゃるお宅がありました。もともと花粉の時期は窓を開ける機会が少ないお宅だったのですが、外壁塗装の足場と養生シートで家全体が包まれると、洗濯物も外に干せず、換気のタイミングも業者側の作業状況に合わせざるを得なくなってしまったんです。
「工事期間中はずっと家の中の空気がこもっている感じで、正直しんどかったです」とお電話でお話しされていたのを覚えています。塗料の臭いそのものより、換気がままならないことのストレスの方が大きかったというのは、私にとっても発見でした。
忘れられないのは、そのお客様が「花粉のことは事前に業者さんに伝えていなかった」とおっしゃっていたことです。工程を組む段階で伝えていれば、換気のタイミングや養生の仕方について、多少なりとも相談の余地があったかもしれません。
外壁塗装の工程には、塗る前に外壁を洗い流す高圧洗浄があります。この工程で、外壁に付着した花粉やほこりもある程度は洗い流されることになります。工事後にお客様から「なんだか外壁だけじゃなく窓まわりもすっきりした気がする」というお声をいただくことがあるのですが、これは洗浄工程の副次的な効果だと考えています。
一方で、足場に張られる養生ネットやメッシュシートは、粉じんや塗料の飛散を防ぐためのものであって、花粉の侵入そのものを防ぐ目的では作られていません。工事中だから花粉が家の中に入りにくくなる、という誤解は避けていただきたいところです。
花粉症のご家族がいらっしゃる場合、必ずしも春先にこだわらず、時期をずらすという選択肢もあります。もちろん塗装に適した気候の幅は業者や塗料によって多少差があるので、一概には言えないのですが、少なくとも「この時期は家族の体調面で避けたい」という希望は、見積もりの相談段階で伝えていただければと思います。
私自身、施主とのやり取りを長く見てきた中で感じるのは、工事に関する希望は業者側から聞かれて初めて話す方が多いということです。聞かれなければ黙っている、というお客様は実は多いんですよね。工期や天候の話だけでなく、ご家族の体調や暮らし方についても、遠慮せずに伝えていただいていいのだと、この場を借りてお伝えしたいです。
外壁塗装は数週間、家の外側が変化し続ける工事です。その間の暮らし方まで含めて考えると、季節の選び方ひとつで負担の大きさが変わってくることがあります。花粉の時期はその代表的な例だと思っています。
工事内容だけでなく、工事期間中の暮らしのイメージまで、遠慮なく業者に相談していただきたいと思っています。