外壁塗装の契約書や保証書には、たいてい担当者の名前と連絡先が書いてあります。何かあったらこの人に連絡すればいい、そう思うと安心するものですよね。私も前職で契約書に触れる立場にいましたから、その名前がお客様にとってどれほど心の支えになるか、よく分かっているつもりです。
ただ、外壁塗装の保証期間は10年ということも珍しくありません。10年という長い時間の中で、会社の中の人がずっと同じ場所にい続けるとは限らない。これも、また事実なんですよね。契約した時点では、なかなか想像もしないことだと思います。
塗装業界に限った話ではないと思いますが、営業担当者が独立したり、現場責任者が別の会社に移ったりすることは、実際に起こります。会社自体はちゃんと存続していても、担当者個人はもういない、ということが起こるわけです。
これ自体は、誰が悪いという話ではないと思っています。人が動くのは当たり前のことですから。ただ、その引き継ぎがきちんとされているかどうかで、お客様が受ける印象は大きく変わってしまうんですよね。
前職で窓口をしていた頃も、こうした「担当者が変わった後の対応」で悩むお客様のお電話を、何度も受けてきました。会社としての体制が整っているかどうかが、こういう場面で如実に出てしまうものだと感じています。名刺の肩書きだけでは、そこまで見抜けないものなんですよね。
以前、長野県にお住まいのお客様から、外壁の一部にひび割れが出てきたので保証で見てもらいたい、というお電話をいただいたことがあります。契約書に書かれていた担当者の携帯電話にかけても、もう使われていない番号だったそうです。会社の代表番号にかけ直しても、その名前を覚えている人がなかなか出てこなかったと聞きました。
結局、社内で過去の契約データを探してもらい、対応してもらえることにはなったのですが、そこまでにかかった時間と、お客様が感じた不安は、決して小さなものではなかったと思います。「担当者が辞めていたなんて、思いもしませんでした。契約した時は、この人が最後まで見てくれるものだとばかり」とおっしゃっていたのを、今でも覚えています。
幸い、そのお客様の場合は保証内容自体はきちんと生きていて、工事も無事に終わりました。ただ、電話をかけてから対応が決まるまでの数日間、ずっと不安な気持ちで過ごされていたのだと思うと、こちらとしても胸が痛みます。
この経験から私が思うのは、保証書を見るときに大事なのは担当者個人の名前よりも、その会社が組織としてお客様の情報をどう管理しているか、ということです。担当者が変わっても対応できる体制があるかどうか、契約時にそれとなく聞いてみるのもいいかもしれません。
例えば、保証書に会社の代表番号やお客様相談窓口が併記されているか、契約データを個人のメモではなく会社のシステムで管理しているか。そうした小さな確認が、10年後の安心につながるのだと思います。担当者の人柄で契約を決めること自体は、悪いことではありません。ただ、その人が万が一いなくなっても大丈夫かどうかは、別の視点で見ておいてほしいんですよね。
弊社でも、加盟している業者さんには顧客情報や保証内容を個人ではなく会社として管理してもらうよう、日頃からお願いしています。担当者が誰であっても、困ったときにきちんとつながる。そんな当たり前のことを、当たり前に続けられる業者さんを、これからもお客様にお伝えしていきたいと思っています。