前職で担当していたお客様のお宅で、こんなことがありました。足場を組み終えて高圧洗浄の準備をしていた朝、職人さんから「軒天の奥に蜂の巣があります」と連絡が入ったんです。お客様も普段はそこに近づく機会がないので、まったく気づいていなかったそうです。
戸袋の裏や軒天の奥、雨戸の隙間というのは、人の出入りが少なく、蜂にとっては居心地のいい場所なんですよね。外壁塗装のために足場を組んで初めて見つかる、というのは決して珍しい話ではありません。
ここで差が出るのが、業者の初動です。見なかったことにしてそのまま作業を進めようとする業者もいれば、すぐに作業を止めて状況を確認し、お客様に電話一本入れてくれる業者もいます。私が現場で見てきた中で信頼できると感じたのは、間違いなく後者でした。
蜂の種類によっては駆除業者への依頼が必要になりますし、費用や日程の調整も発生します。契約書には載っていない出来事ですから、正直なところ「言った言わない」のトラブルになりやすい場面でもあるんです。だからこそ、見積もりの時点にはなかった追加対応が発生したとき、その説明をきちんとしてくれるかどうかを見てほしいと思います。
蜂の巣の駆除費用について、実は契約書に明記されているケースはあまり多くありません。業者側のサービスとして無償で対応してくれることもあれば、駆除業者を手配して実費請求になることもあります。どちらが悪いという話ではなく、事前に取り決めがないまま現場で決めることになりやすい、という点を知っておいていただきたいんです。
先日も、別のお客様から「追加で数万円かかると言われたけれど、それが妥当な金額なのか分からなかった」というご相談をいただきました。こういうとき、駆除業者の見積もりを見せてもらえるか、写真を撮ってもらえるか、その一言を聞けるかどうかで、お客様の納得感はずいぶん変わってきます。
もう一つお伝えしたいのが、職人さん自身の安全に対する姿勢です。蜂の巣に気づかず高圧洗浄の水を当ててしまうと、興奮した蜂に刺される危険があります。近隣で子どもたちが遊んでいることもありますから、駆除が済むまで作業エリアを区切って対応してくれるかどうかも、現場の質を見る一つの目安になると思っています。
業界に身を置いて長く感じるのは、こうした想定外の出来事にどう向き合うかに、その業者の普段の姿勢が表れるということです。見積もりや契約書の丁寧さだけでなく、現場で何かが起きたときの対応力も、業者選びでは意外と大事な部分なんですよね。