先日も、埼玉県にお住まいの40代のお客様から、こんなお話をうかがいました。ご自宅の外壁塗装を検討していたところ、「じゃあ半分は出してあげるよ」とお父様が申し出てくれたのだそうです。工事費用の見積もりを見て悩んでいた時期だったので、本当にありがたい申し出だったと話してくださいました。
ただ、その後にお父様の口座からまとまった額が振り込まれたのを見て、ふと「これ、税金の対象になったりしないんだろうか」と不安になったそうです。契約を急いでいたこともあって、振込のタイミングや金額について、深く考えずに進めてしまっていたと言います。こういうお話を聞くたびに、工事の相談とお金の相談は、切り離して考えられがちなんだなと感じます。
個人から個人への贈与には、年間110万円までは贈与税がかからないという、暦年課税の基礎控除という考え方があります。この金額を超えて財産を受け取ると、原則として贈与税の申告が必要になる、とされています。親子の間であっても、この考え方自体は変わりません。
外壁塗装の工事費用は、決して安い金額ではないことが多いです。100万円を超える見積もりも珍しくありませんし、屋根や付帯部も一緒に塗るとなれば、さらに膨らむこともあります。援助してもらった金額次第では、贈与税の申告が必要になる可能性がある、というのは、意外と知られていない話なんですよね。
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置という制度もあり、条件を満たせば一定額まで非課税になる仕組みがあります。ただこれは主に新築の取得や、床面積などの要件を満たす増改築が対象になっている制度で、外壁の塗り替えのような修繕が、そのまま当てはまるとは限りません。工事の内容や契約の形によって、扱いが変わってくるところがあります。
このお客様のケースでは、契約前に一度、顧問の税理士さんに相談されたそうです。結果として、工事内容と金額によっては申告を考えたほうがよさそうだと分かり、早めに確認できて良かったとおっしゃっていました。判断に迷う部分があるからこそ、専門家に一度聞いてみる、という選び方は理にかなっているなと思います。
弊社でも見積もりや契約の際には、実際に費用を負担される方と、契約者名義が一致しているかどうかを、お客様に確認をお願いすることがあります。家族間でお金を出し合う工事だと、この確認をあいまいにしたまま進んでしまうことがあるからです。
小さなことのようですが、後になって「あれは援助だったのか、それとも一時的な立て替えだったのか」を証明できないと、余計な手間がかかってしまうことがあります。振込の際の摘要欄に工事名目を書き添えておく、契約書に費用負担者を明記しておく。そうした地味な備えが、後々の安心につながるのだと思います。