前職で担当したお客様の中に、埼玉県にお住まいの方がいらっしゃいました。二社から見積もりを取り寄せて、金額だけを見比べていたんです。片方は税込表示、もう片方は税別表示。単純に数字の小さい方に決めかけていたので、慌てて確認をお願いしたことを覚えています。
差額は決して小さくありません。外壁塗装は総額が大きい工事ですから、税別か税込かの見落としが、数万円の見当違いにつながることもあるんですよね。忘れられないお話があるんです。あのとき電話口で「危なかった、教えてもらえて良かったです」とおっしゃった声の安堵が、今も耳に残っています。
2023年にインボイス制度が始まってから、お客様との会話で「この業者さんはインボイス発行事業者ですか」と聞かれる場面が増えました。一人親方として活動されている職人さんの中には、免税事業者のままという方もいらっしゃいます。それ自体は悪いことではありません。技術と免税事業者かどうかは、まったく別の話ですから。
ただ、施主様が法人や個人事業主で、工事費用を経費として仕入税額控除にあてたいとお考えの場合は、話が変わってきます。発行事業者かどうかで、実質的な負担額が変わってしまう可能性があるんです。契約前にひとこと確認しておくだけで防げることなのに、工事が終わってから気づいて困るお客様を、業界に身を置いて20年、何度か見てきました。
これは私の実感なのですが、消費税の表記が曖昧な見積書は、他の項目も「一式」でまとめられていることが多い傾向があるように感じています。税抜金額なのか税込金額なのか、インボイス番号の記載があるかどうか。細かい部分に気を配れる業者は、下地処理や工程の説明も丁寧なことが多いんですよね。逆もまた然りで、そこが揃っていない見積書には、少し立ち止まって見てほしいと思っています。
先日も、静岡県のお客様から見積書の写真を送っていただいて、税表記の欄が空欄になっているものを見つけました。悪意があったのかは分かりませんが、少なくとも見積書としての体裁は整っていなかったんですよね。こうした小さな違和感を、お客様ご自身で見抜けるようになってほしいという気持ちで、今日はこの話を書いています。
弊社では、税込・税別の両方を明記し、インボイス発行事業者としての登録番号も見積書に記載するようにしています。当たり前のことのようですが、この当たり前を徹底することが、お客様の安心につながると思っているんです。
外壁塗装は人生で何度もある買い物ではありません。だからこそ、金額の大きさだけでなく、その内訳や表記の一つひとつに、業者の誠実さが表れると私は考えています。同じ思いをするお客様をもう一人でも減らしたいという気持ちで、これからもこうした情報を発信していきたいと思います。