専門用語が分からないまま頷いてしまったお客様に伝えたい、聞いていいという話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年10月8日
打ち合わせの席で、営業さんの説明に知らない言葉が混ざっていても、つい「はい、はい」と頷いてしまう。そんな経験をされた方は少なくないと思います。今日は、その「分かったふり」のあとで困ってしまったお客様のお話と、遠慮せずに聞いてほしいという私の思いをお伝えしたいんです。

①「ケレンって何ですか」が言えなかったご夫婦

前職で、埼玉県のあるご夫婦からお電話をいただいたことがあります。工事が終わって半年ほどで、鉄部のサビがまた浮いてきた、というご相談でした。

契約時の書類を見せていただくと、見積書には「鉄部ケレン」とたしかに一行あるんです。ただ奥様は「ケレンという言葉は説明のときに何度も聞いたけれど、何のことか分からなかった。でも聞いたら恥ずかしい気がして」とおっしゃいました。ケレンはサビや古い塗膜を落とす下地処理のことです。それが十分だったのかどうか、確かめようにも、何をしてもらう約束だったのかご本人が分かっていなかった。電話口で、それがいちばん悔しそうに聞こえました。

あのときの、少し震えた声は今でも覚えています。

②頷いてしまうのは、お客様のせいではありません

外壁塗装の打ち合わせには、本当にたくさんの専門用語が出てきます。下塗り、シーラー、タスペーサー、縁切り、増し打ち、打ち替え。業界に20年いる私でも、初めての方に一度で全部伝わるとは思っていません。

それなのに、聞き返すのは何となく気が引ける。相手は忙しそうだし、説明も流れるように進んでいく(話がうまい営業さんほど、そうなりがちです)。「分からないと言ったら、足元を見られるかもしれない」と心配される方もいらっしゃいました。

ですから、頷いてしまうのはごく自然なことなんですよね。ただ、その頷きが「説明を受けて納得しました」という記録として残ってしまう。ここが怖いところだと思っています。

③聞き返したときの反応に、業者の姿勢が出ます

私がお客様にお伝えしているのは、とても単純なことです。分からない言葉が出たら、その場で「それは何ですか」と聞いてください。

良い業者さんは、聞かれると嬉しそうに説明してくれることが多いんです。写真を見せたり、実物の部材を持ってきたり、紙に絵を描いたり。反対に、面倒そうな顔をする、「まあ、うちに任せてもらえれば」とはぐらかす。そうした反応が続くなら、一度立ち止まっていいと思います。

先日も弊社にご相談くださったお客様が、「見積書の分からない言葉に全部マーカーを引いて、業者さんに一つずつ聞いたんです」と話してくださいました。三社のうち一社だけ、説明が一番丁寧だったそうで、最後はそこに決めたとのこと。その方の笑顔を見て、こちらまで嬉しくなりました。

④「分かったつもり」を防ぐ、ちょっとした工夫

打ち合わせの前に、見積書を一度ゆっくり読んで、知らない言葉に印をつけておく。それだけで当日の聞きやすさが変わります。

説明してもらった内容は、簡単でいいのでメモに残しておくと安心です。「ケレン=サビ落とし、手作業と電動工具で」くらいの走り書きで十分なんですよね。可能であれば、その言葉の意味を見積書の余白に業者さんに書いてもらうのも一つの方法だと思います。

ご家族に同席してもらうのもいいですね。一人だと遠慮してしまう質問も、二人いると不思議と口に出しやすくなるものです。

業界のリアル・まとめ

専門用語が分からないのは恥ずかしいことではなく、聞き返すことはお客様の大切な権利だと私は思っています。その質問に丁寧に向き合ってくれるかどうかが、業者選びの確かな手がかりになります。分からないまま頷いてしまって後悔する方を、これからも一人でも減らしていきたいです。

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