外壁塗装の工事では、足場を組んだあとに飛散防止用のメッシュシートやビニール養生で建物全体を覆う工程があります。これは近隣への塗料飛散を防ぐための大事な作業なんですが、玄関ドアの周りまでシートがかかると、家の中が急に薄暗くなったり、ドアの開閉がしづらくなったりすることがあります。
埼玉県のあるお客様から、工事が始まって数日たった頃にお電話をいただいたことがありました。「玄関が開けにくくて、しかも宅配便の人がインターホンを鳴らしても気づかなかったみたいで、荷物が持ち帰られてしまった」とのことでした。契約前の打ち合わせでは色や工程の話が中心で、そこまで想像が及んでいなかったんですよね。
高圧洗浄や下地処理の作業中は、機材の音でインターホンのチャイムが聞こえにくくなることがあります。加えて、足場や養生シートが玄関先を覆っていると、宅配業者の方が「本当にここが正しい入口なのか」と戸惑ってしまうケースもあるようです。
普段なら気にも留めない小さなことなんですが、工事期間が2週間前後続くと、その間に受け取りそびれる荷物が積み重なっていくこともあります。特にご高齢の方だけで暮らしているお宅では、再配達の連絡を取るだけでも一苦労だったという声を聞いたことがあります。
最近は置き配や宅配ボックスを使うご家庭が増えていますが、その位置がちょうど足場の支柱や養生シートの陰になってしまうことも珍しくありません。工事前の打ち合わせで「宅配ボックスはここにあります」「郵便受けはこの位置です」と一言伝えておくだけで、業者側も配置や養生の仕方を工夫してくれることが多いんです。
逆に言うと、こちらから伝えない限り、業者は生活動線までは気づけません。現場の職人さんたちは塗装のプロであって、暮らしの細部を先回りして想像してくれるとは限らないんですよね。だからこそ、契約前や着工前の打ち合わせで、暮らしに関わる小さな要望をどれだけ拾い上げてくれるかは、その業者を見極める一つの材料になると思っています。
前職で13,000件以上のマッチングに関わってきた中で感じたのは、丁寧な業者ほど、工程表の説明と一緒に「この期間はインターホンが聞こえにくくなるかもしれません」「郵便物はこちらにまとめて置いておきますね」といった一言を添えてくれるということです。逆に、こうした説明が一切ないまま工事に入ってしまうと、お客様側は工事中に初めて不便さに気づき、戸惑うことになりがちです。
工事は塗料や工法だけで成り立っているわけではなく、その間ずっとそこで生活が続いているということを、業者側がどれだけ想像できているか。私はそこに、その会社の姿勢がにじみ出るように感じています。
外壁塗装の打ち合わせでは、色や金額、工期といった大きな項目に意識が向きがちですが、宅配便やインターホンといった日常の小さな動線こそ、実際に困ってから気づくことが多いようです。契約前に「工事中、玄関周りはどう変わりますか」と一言聞いてみることが、思わぬ不便を防ぐ小さな備えになるのではないかと思います。