外壁塗装の業者を選ぶときに気にしてほしいことが、大きく二つあります。ひとつは「建設業許可」という会社単位の行政上の許可、もうひとつは「塗装技能士」という職人さん個人の国家資格です。
建設業許可は、工事を請け負う会社が国や都道府県から受ける許可です。取得するには、専任の技術者の在籍・一定の資本金・欠格事由がないこと、などの要件を満たす必要があります。一般住宅の外壁塗装は、法律上の請負金額によっては必ずしも許可が必要ではないケースもあるのですが、許可を持っている会社は、少なくともそれだけの基準をクリアした実績があるという点で、ひとつの判断材料になります。許可番号は公開情報ですので、聞けば教えてもらえるはずのものです。
塗装技能士は、国が認定する技能検定に合格した職人さんが持つ資格で、1級と2級に分かれています。1級の取得には7年以上の実務経験が必要とされており、現場で実際に塗装する職人さんの「腕の確かさ」を測るひとつの目安になります。会社に許可があることと、現場に経験ある職人がいることは、別々に確認が必要なんですよね。この二つを混同されているお客様も多く、前職時代から気になっていた部分でした。
前職での出来事です。ある地域のお客様から、「外壁の工事が終わってしばらく経つのに、雨のたびに壁の内側に水が入ってくる。業者に電話しても、もう繋がらない」というご相談をいただきました。
詳しくうかがうと、工事の担当者からもらった名刺の住所に事務所がなく、固定電話も解約されていたとのことでした。ネットで社名を検索しても、ほとんど情報が出てこない。建設業許可の番号を確認しようにも、そもそも許可を持っていたかどうかも分からない。そういう状況でした。
最終的にそのお客様は、別の業者さんに自費で補修工事を依頼されることになりました。その費用は、決して小さな金額ではありませんでした。「最初に少しだけ調べておけばよかった」とおっしゃっていた声が、今でも耳に残っています。似たような状況を、前職時代に複数件経験しました。だからこそ、私はこの話を早い段階でお伝えしたいんです。
ただ、一点だけ申し上げると、建設業許可を持っていれば工事がすべて丁寧に仕上がる、とは言い切れません。
許可を持つ会社でも、実際の施工を下請け業者に任せるケースがあります。施主が「あの会社にお願いした」と思っていても、現場で塗装しているのは別の職人さん、ということは業界では珍しくないんですよね。会社の「信頼性」と、現場の「施工の丁寧さ」は、必ずしも一致するわけではありません。
だからこそ、会社の許可の有無だけでなく、「実際に施工するのはどなたですか」「現場管理の担当者は誰ですか」という確認も大切になってくるんです。この質問に対して、具体的な名前や役割をすんなり教えてくれる業者は、現場管理への意識が高いことが多い、と私は感じています。
難しいことをする必要はありません。
まず、会社の住所と電話番号が実態のあるものかどうかを確認してみてください。地図アプリで住所を検索して、実際に事務所がある様子かどうか見てみる。固定電話番号があるかどうか確かめる。これだけでも、かなりの絞り込みになります。
建設業許可については、業者に「許可番号を教えていただけますか」と聞いてみてください。番号を教えてもらえたら、国土交通省が運営する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で照会することができます。ここで会社名・代表者名・許可の種類が確認できます。
それと、「1級塗装技能士の方はいらっしゃいますか」という質問も、ぜひ一度聞いてみてほしいんです。在籍していると答えてもらえるかどうかだけでなく、その質問に対する業者の反応も、ひとつの手がかりになります。業界に長く身を置いてきた経験からすると、誠実な業者ほど、こうした確認に対して丁寧に、かつ自信を持って答えてくれることが多いと感じています。聞いて嫌な顔をするような業者であれば、それ自体がひとつのサインかもしれません。