外壁の色を大きく変えたら追加費用がかかると言われたお客様に伝えたいこと

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年7月19日
「思い切って人気の色に変えたら、追加費用がかかると言われました」というご相談を、これまで何度かいただいたことがあります。色を変えること自体は珍しくないのですが、その裏側にある「隠ぺい力」という言葉を、契約前に聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。今日は、色選びのその先にある、見落とされがちな話をお伝えしたいと思います。

白い外壁を濃い色に変えたいと言われたお客様

愛知県のあるお客様から、以前こんなお電話をいただいたことがあります。長年住んでいたご自宅の外壁は白に近いクリーム色で、そろそろ塗り替えの時期を迎えていました。せっかくなら気分を一新したいと、深いネイビーに近い色をお選びになったのです。ご主人が長年温めていた希望だったそうで、電話の向こうの声はとても弾んでいました。

ところが見積もりを取り直したところ、当初の金額より数万円高い金額が提示されました。理由を尋ねると「下塗り塗料を通常より多く使うことになるので」という説明だったそうです。お客様は「色を変えるだけでそんなに変わるものなのか」と、戸惑った様子で私に問い合わせてくださいました。契約書にサインする直前だっただけに、余計に不安になられたのだと思います。

「隠ぺい力」という、あまり知られていない言葉

塗料には、下の色を覆い隠す力の強さに差があります。これを業界では「隠ぺい力」と呼んでいます。白や淡い色から濃い色に変える場合、逆に濃い色から淡い色に変える場合も、下地の色が透けて見えないようにするために、下塗りの回数や種類を調整する必要が出てくることがあるのです。

すべての色の組み合わせで追加費用が発生するわけではありません。ただ、色の差が大きいケースでは、想定外の工程が加わることがあります。私自身、前職で色選びの相談を受けていた頃、こうした説明を後回しにする営業担当者を何人も見てきました。悪気があるというより、契約の雰囲気を壊したくないという配慮のつもりなのかもしれませんが、結果としてお客様を戸惑わせてしまうのです。

なぜ契約前に説明されないことがあるのか

色見本を見ながら盛り上がっている打ち合わせの場で、水を差すような話をしたくないという気持ちは、営業する側にも分からなくはありません。ですが、契約後に金額が変わるというのは、お客様にとって一番避けたい展開だと思うのです。

忘れられないお話があるんですよね。以前、担当したお客様の中に、契約直前になって「実は色によっては金額が変わります」と切り出され、選び直しを迫られた方がいらっしゃいました。結果的には別の業者に切り替えることになったのですが、そのやり取りにかかった時間と気持ちの負担を思うと、最初から伝えてほしかったと今でも感じます。業界に身を置いて20年、こうした小さな説明不足の積み重ねが、施主と業者の信頼関係を静かにすり減らしていくのだと感じています。

色を決める前に確認しておきたいこと

色選びの相談をする段階で、「今の外壁の色からどのくらい変えたいか」を業者に伝え、その色の組み合わせで追加費用が発生する可能性があるかどうかを、先に聞いておくことをおすすめしています。見積書に「下塗り〇回、標準仕様」といった記載があるかどうかも、確認しておくと安心です。

色によって金額が変わることは、悪いことではありません。塗料そのものの性質によるものですから、業者の意地悪でも何でもないのです。ただ、それを契約前に知っているかどうかで、お客様の受け止め方は大きく変わってくるはずです。先日も、色選びの相談を受けた際に、この隠ぺい力の話を最初にお伝えしたところ「そんなことまで教えてもらえるとは思わなかった」と驚かれました。

塗り見本だけでは分からないこと

色決めの際は、小さな色見本ではなく、実際の壁面に近いサイズで試し塗りをしてもらうことも大切です。面積が変わると印象が変わるのは色そのものの話ですが、隠ぺい力による工程の違いは、見本だけでは判断できません。担当者に一言尋ねる、それだけのことなのですが、なかなか自分から聞けるお客様は多くないというのが、これまで多くの現場を見てきた実感です。

業界のリアル・まとめ

色選びは外壁塗装の楽しみのひとつですが、その先には塗料の性質という、意外と知られていない事情が隠れています。契約前に一言確認するだけで、後から驚くことは防げるはずだと、私は思っています。

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