前職で外壁塗装の窓口をしていた頃、13,000件を超えるマッチングを見てきましたが「対応がとても丁寧で、この人にお願いしたいと思いました」という声を本当によく聞きました。それ自体は嬉しいことなんですよね。ただ同時に、丁寧な対応や聞き上手であることは、優秀な営業担当であれば当然のように身につけている技術でもあります。
長野県のあるお客様から、以前こんなお話を伺ったことがあります。「担当の方が毎回すぐに折り返してくれて、世間話にも付き合ってくれて、すっかり信頼してしまって」と。工事が終わってから見積もりを見返すと、他社よりも高めの金額だったことに気づいたそうです。悪い業者だったわけではないのですが、比較する手間を惜しんでしまったことを、少し悔やんでいらっしゃいました。
人としての相性が良いと、質問すること自体が申し訳なく感じてしまう方がいらっしゃいます。「せっかく感じよく対応してくれているのに、値段のことや他社と比べていることを言ったら失礼かな」というお気持ちは、私もよく分かります。
ですが、金額の根拠や保証内容、使用する塗料のグレードといった確認は、相性の良し悪しとは別の話なんですよね。むしろ本当に信頼できる担当者であれば、こうした質問を歓迎してくれるはずです。質問されて機嫌が悪くなるようであれば、その反応自体が一つの判断材料になると思っています。
業界に身を置いて20年ほどになりますが、契約の決め手を振り返っていただくと「担当者の人柄」を挙げる方は本当に多いです。それ自体を否定するつもりはまったくありません。ただ、後悔されている方の多くは、人柄以外の判断材料を持たないまま契約に至っているという共通点があります。
反対に、満足されている方に共通しているのは、人柄への好感を持ちながらも、見積書の内訳や保証、他社との違いといった部分もきちんと確認したうえで、最終的に「やっぱりこの人にお願いしたい」という結論にたどり着いていることです。感覚と確認、その両方があってはじめて、後悔のない選択になるのだと感じています。
すでに契約してしまった、あるいは営業担当との相性だけで決めてしまったという場合でも、諦める必要はありません。工事内容の確認書や保証書の内容を、契約後にあらためて見返してみるだけでも、気づけることがあります。
弊社にご相談くださるお客様の中にも、契約を終えたあとに「これで良かったのか確認したい」という方がいらっしゃいます。そうした声に向き合うたびに、人と人との相性という、数字では測れない部分を大切にしながらも、そこに確認という土台を添えてあげることが、私たちの役目なのだと思わされます。