前職で外壁塗装の窓口を担当していた頃、初めて訪問したお客様のお宅で「全国◯◯協会認定」というステッカーが玄関脇に飾られていたのを覚えています。お客様はそれを見せながら「ここに頼めば間違いないですよね」と、嬉しそうにおっしゃっていました。私もまだ経験が浅かった当時は、そういうものかと思っていたのです。
ですが業界の内側を知るにつれて、そうした団体の多くが年会費を納めることで加盟でき、ロゴやステッカーの使用が許可されるという仕組みだと分かってきました。もちろん技術試験や現場審査を課している団体もありますが、そうでないところも少なくありません。マークがあるからといって、施工の丁寧さや価格の妥当性まで保証されているわけではないのです。
外壁塗装は人生でそう何度も経験するものではありません。相場も分からず、業者の技術力を自分の目で判断する材料も持たないまま契約に臨むお客様がほとんどです。そうした状況で「認定」「加盟店」という肩書きを目にすると、それだけで信頼できる存在だと感じてしまうのは、無理もないことだと思います。
忘れられないお話があるんです。長野県のあるお客様から、工事が終わって数年後にお電話をいただきました。塗膜の剥がれが目立ち始めて業者に連絡したものの、なかなか対応してもらえないとのことでした。「認定店だから大丈夫だと思っていたのに」というその言葉が、今でも心に残っています。マークを信じたこと自体は決して間違いではありませんが、それだけを判断材料にしてしまったことが、後悔につながってしまったのだと思います。
大切なのは、マークを否定することではなく、その奥にある実態に目を向けることだと考えています。過去に手がけた工事の写真を見せてもらえるか。問い合わせに対して曖昧な返事でごまかされないか。自社の職人が施工するのか、それとも別の業者に任せているのか。そうした具体的なやり取りの積み重ねの中でしか、本当の信頼は見えてこないものなんですよね。
もちろん、真面目に審査基準を設けている団体も存在しますし、加盟していること自体を悪く言うつもりは全くありません。ただ、ステッカーの見た目だけで判断を止めてしまうと、その先にある業者の実態を確かめる機会を失ってしまう。そこだけは、お伝えしておきたいと思います。
業界に身を置いて20年近くになりますが、施主とのマッチングに携わってきた経験の中で感じるのは、お客様が本当に必要としているのは肩書きではなく、事実に基づいた判断材料だということです。弊社が外壁塗装くらべるを立ち上げたのも、そうした思いからでした。
マークの有無だけで一喜一憂するお客様を、もう一人でも減らしたい。そう思いながら、日々の相談に向き合っています。