外壁塗装の見積もりを取る時期は、多くのご家庭で親御さんの年齢や暮らし方を見直すタイミングとも重なっているように感じます。玄関のスロープ、勝手口の手すり、浴室に面した外壁の断熱補強。こうした改修は、足場や職人がすでに現場に入っている外壁塗装のタイミングで一緒に進めた方が、費用も手間も抑えられることが多いんです。
ただ、これは「外壁塗装のついでにサービスでやってもらう」話ではありません。手すりを固定するには下地の補強が必要な場合がありますし、スロープの勾配ひとつで使い勝手が大きく変わってきます。ついでという軽い気持ちで進めてしまうと、後になって「思っていたのと違った」と感じるご家族を、これまで何度も見てきました。
前職で外壁塗装の窓口を担当していた頃、ある業者から「足場を組んだ状態でしかできない外壁の補強工事があります」と説明を受けたことを覚えています。手すりの支柱を外壁に打ち込む場合、防水処理を含めて足場の上から作業した方がきれいに収まるケースがあるそうです。逆に言えば、外壁塗装が終わって足場を外してから「やっぱり手すりも」となると、再度足場を組む費用が別にかかってしまう。
一方で、室内側の手すりや上がり框の段差解消のように、外壁塗装とはまったく関係のない工事も当然あります。何でもかんでも一緒にした方がいいわけではなく、外壁に関わる部分だけは足場のタイミングを逃さないでほしい、というのが私からのお願いです。
長野県にお住まいのお客様から、こんなお電話をいただいたことがあります。実家の外壁塗装を頼んだところ、同居しているお母様が「玄関に手すりが欲しい」と職人さんに直接頼んでしまい、離れて暮らすご兄弟から「そんな話は聞いていない」と連絡があったそうです。悪気があったわけではなく、お母様にとっては目の前にいる職人さんに頼むのが一番自然だったのだと思います。
バリアフリー改修は、住んでいる本人にとっては切実な困りごとですが、費用を出す側や離れて暮らす家族にとっては、見えにくい部分でもあります。外壁塗装の打ち合わせの場に、できれば家族の代表だけでなく、実際に暮らしている方の希望も一緒に聞いておくと、後々のすれ違いを防げるように思います。
先日も、外壁塗装の見積もりに来た担当者に「介護保険の住宅改修費が使えるかどうか」を聞いたら、はっきり答えてもらえなかったというお話を伺いました。外壁塗装の業者は塗装の専門家であって、介護保険の制度に詳しいとは限りません。ここは無理に一社に任せきりにせず、ケアマネジャーさんや地域包括支援センターにも相談しながら進めていただく方が、結果として安心できるやり方だと感じています。
見積もりの段階で「バリアフリー部分は外壁塗装の費用とは別に、制度を使って進めたい」と伝えておくだけでも、業者側の対応は変わってきます。曖昧なまま話を進めてしまうと、どこまでが塗装の見積もりで、どこからが改修の見積もりなのか分からなくなってしまうんですよね。