足場が隣の敷地にはみ出す時に知ってほしい、外壁塗装の越境の話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年7月27日
足場を組むとき、隣の敷地に少しだけ入らせてもらわないと作業ができないケースがあります。業界に身を置いて20年になりますが、多くのお客様はご自宅の敷地内だけで完結すると思われていて、いざ業者から「お隣に立ち入らせていただく許可を取ってください」と言われて戸惑う場面を何度も見てきました。今日は、この「越境」にまつわる話をお伝えしたいと思います。

①敷地ぎりぎりでは、足場は組めないという話

外壁塗装の見積もりをご覧になったとき、足場代の項目を「なんとなく高いな」と感じるお客様は多いと思います。ただ、足場という工事は、家の壁からある程度の距離をとって鉄骨を組む必要があって、住宅が密集した地域だと、その距離がどうしても隣のお宅の敷地にかかってしまうことがあるんです。

前職で担当をしていた頃、都市部の狭い分譲地で、隣家との境界線が本当にぎりぎりだったお宅を何軒も見てきました。図面の上では自分の敷地内に収まっているつもりでも、実際に足場を組む職人さんの目線では、支柱の一本が数センチだけ隣に入ってしまう。そんな現場は、決して珍しくありません。

②「ご挨拶」と「承諾」は、実は同じではありません

工事前になると、多くの業者が近隣へのご挨拶回りをしてくれます。手土産を持って「工事でご迷惑をおかけします」と一言添える、あの場面です。ただ、隣の敷地に足場を置かせてもらう必要がある場合、これは挨拶とは別に、正式な承諾を得ておくべき話なんですよね。

挨拶は「工事をしますのでよろしくお願いします」という気持ちの部分が大きいのですが、承諾は「あなたの敷地に、いつからいつまで、こういう形で足場を置かせてください」という、もう少し具体的な約束です。ここを曖昧にしたまま着工してしまうと、あとになって「そんな話は聞いていない」というすれ違いが生まれてしまいます。

③長野県のあるお客様に起きたこと

忘れられないお話があるんです。長野県のあるお客様から、工事が終わったあとにお電話をいただいたことがありました。隣のお宅とは長年仲良くされていたそうなのですが、足場を組む際に業者が隣家の花壇の脇を通らせてもらう必要があり、簡単な声かけだけで作業を進めてしまったそうです。

工事自体は問題なく終わったのですが、足場を外したあとに花壇の縁が少し欠けているのに気づいたお隣の方から「何も聞いていなかった」と言われてしまい、そのお客様はご近所付き合いの中で気まずい思いをされたと話してくださいました。花壇の修繕自体は大きな金額ではなかったのですが、業者が承諾を書面にしていれば、防げたやり取りだったと思います。

④越境を任せられる業者かどうかの見極め方

信頼できる業者は、足場計画の段階で隣地に入る可能性があるかどうかを図面で確認し、必要であれば着工前に隣家へ出向いて、いつからいつまで、どの範囲で立ち入らせてもらうかを説明してくれます。先日も、契約前にこの点を業者に確認されたお客様がいらっしゃって、担当者の答え方から「ここまで考えてくれるなら安心できそう」と感じられた、というお話をしてくださいました。

お客様の側からも、契約前に「足場は敷地内で収まりますか」「もし隣地に入る場合、どう対応してくれますか」と一言聞いてみていただきたいと思います。この質問への答え方一つで、その業者が近隣対応にどれくらい慣れているかが見えてくることがあります。

業界のリアル・まとめ

足場と隣地の話は、工事の見積もりや工程表にはなかなか出てこない部分です。だからこそ、契約前に確認しておくことで、ご近所との関係を守りながら気持ちよく工事を終えられるのではないかと思っています。

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