雨樋というのは、地上から見上げてもなかなか異変に気づけないものです。歪みや詰まり、金具の緩みは、実際に足場に上って近くで見てはじめて分かることが多いんですよね。前職時代、ある業者さんが「足場があるうちに全部見ておかないと、次に見られるのは10年後ですよ」と施主さんに説明していたのを、今でもよく覚えています。
外壁塗装は数年に一度あるかないかの機会です。その機会に雨樋まで含めて見てもらえるかどうかで、その後の暮らしやすさが変わってくることがあります。
雨樋の劣化は、外壁のひび割れのように分かりやすい見た目の変化として現れないことが多いです。水はちゃんと流れているし、パッと見た感じも特に変わらない。だから「まだ大丈夫」と判断してしまいがちなんです。
ですが、樋の内側の劣化や勾配のわずかなズレは、外から見ただけでは分かりません。私が窓口業務をしていた頃、埼玉県のお客様から「外壁塗装から2年後に雨樋が壊れて、外壁だけ先にきれいにしたことを後悔している」というお電話をいただいたことがあります。その時にもう少し詳しく見てもらっていれば、というお話でした。
雨樋の交換や修繕は、足場を組んで行うことがほとんどです。外壁塗装のときに一緒に済ませておけば一度で済む足場代が、後から雨樋だけのために、もう一度必要になってしまうことがあるんですよね。
もちろん、雨樋にまだ余裕がある状態であれば、無理に交換する必要はありません。ただ、迷っている状態であれば、次に足場を組む予定がいつになるか分からない以上、このタイミングで判断しておく方が結果的に負担が軽くなることもあるという話は、知っておいていただきたいなと思っています。
業者によっては、最初の見積もり段階で雨樋の点検項目そのものが入っていないことがあります。悪気があるわけではなく、単に外壁と屋根が主役で、雨樋は付随的な扱いになりがちだからだと思います。
だからこそ、見積もりをもらった際には「雨樋の状態も見ていただけましたか」と一言聞いてみることをお勧めしています。この一言があるだけで、業者さんの方でも意識して見てくれるようになりますし、後から「そういえば」ということが減るように感じます。
雨樋は工事全体の金額から見ればごく一部分です。ですが、こういう小さな部分をきちんと見てくれるかどうかに、その業者さんの仕事への向き合い方が出るような気がしています。派手な提案よりも、地味だけれど大事な部分に気づいて伝えてくれる。そういう業者さんに出会えたお客様は、工事が終わったあとの満足度も違うように感じます。
業界に身を置いて20年近くになりますが、こうした細部への気配りこそが、後悔のない家づくりにつながっていくのだと、今も強くそう思っています。