雨戸を収める戸袋は、普段は戸の内側に隠れていて、閉めているときにしか目に入りません。外壁の見た目を左右する部分でもないですし、面積としてもごくわずかです。だからこそ見積書の中では「その他付帯部」という一言でまとめられ、実際に何をするのか説明されないまま契約に至ることが少なくありません。
私自身、前職で現場に立ち会う中で、戸袋の中まで確認する担当者とそうでない担当者がいるのを何度も目にしてきました。塗装するかどうかという判断より前に、まず戸を開けて中を覗いてみるという、その一手間があるかないかで、後々の結果が変わってくるように思います。
長野県のあるお客様から、工事が終わって数年経った頃にお電話をいただいたことがあります。「雨戸の開け閉めが急に重くなった」というご相談でした。伺ってみると、戸袋の内側に錆が広がっていて、戸がすべる部分に引っかかりが出ていたんです。
お客様は「外壁を塗ったのだから、雨戸まわりも大丈夫だと思っていた」とおっしゃっていました。工事の記録を見せていただくと、戸袋の内部については触れられていませんでした。誰かが手を抜いたというより、そもそも工程の中に含まれていなかったというのが実情だったのだと思います。この一件は、私の中で今でもよく思い出す出来事です。
戸袋には金属製のものと木製のものがあり、それぞれ抱えるリスクが違います。金属製の戸袋は、内部に雨水が入り込んだまま放置されると錆が進み、戸のスライドが悪くなることがあります。木製の場合は湿気を吸い込みやすく、腐食やシロアリの被害につながった例も見てきました。
見た目には変化がなくても、内部で少しずつ傷んでいくというのが、こうした部分の厄介なところです。数年後に不具合として表に出てきたとき、外壁塗装のときにさかのぼって考える方は、あまり多くないのかもしれません。
現地調査の段階で、雨戸を開けて戸袋の中を実際に確認してくれるかどうかは、一つの目安になると感じています。中を見ないまま「問題ありません」と言う業者もいれば、素材や劣化の状態を見て、必要な処置を説明してくれる業者もいます。
見積書に戸袋という言葉が一行あるだけでも、その工事に対する向き合い方が見えてくるものです。小さな部分ですが、聞いてみる価値はあると思っています。