外壁に近い位置にエアコンの室外機や給湯器が設置されているお宅は、実はかなり多いんですよね。足場を組む都合上、あるいは高圧洗浄や塗装の作業をきれいに仕上げる都合上、これらの設備がちょうど作業の邪魔になる位置にあることがあります。塗料が飛び散って室外機の吹き出し口を汚してしまうケースも、正直よく見てきました。
そのため業者によっては、養生で覆うだけで済ませることもあれば、配管ごと一時的に移動させることもあります。この「どこまでやるか」の差が、見積もりの内容を大きく左右するんです。
長野県のあるお客様から、工事が始まってしばらく経ってからお電話をいただいたことがあります。足場が組まれて数日後、職人さんから「このエアコン、一度外さないと塗れませんね」と言われ、追加で費用がかかると知らされたそうです。見積書には「付帯部塗装一式」としか書かれておらず、室外機の移設についての記載は一切ありませんでした。
お客様は「安かったから頼んだのに、これじゃ意味がない」と、電話口でとても困惑された様子でした。契約前に確認していれば防げたはずのことなので、私自身も申し訳ない気持ちになったのを覚えています。前職で施主様と業者様の間に立っていた頃から、こうした「見積書に載っていない作業」の話は何度も耳にしてきました。
エアコンの室外機を配管ごと動かす作業には、冷媒ガスを扱う関係で電気工事士や冷媒フロン類取扱技術者といった資格が必要になる場合があります。塗装会社が自社でその資格を持つ職人を抱えていなければ、電気工事店に外注することになり、当然その分の費用が発生します。
見積もりの安さだけを見て契約してしまうと、こうした外注費が後から追加請求として出てくることがあるんですよね。逆に言えば、最初の見積書に室外機や給湯器の扱いについてきちんと項目立てて書いてある業者は、それだけ現場をよく見ているとも言えます。
見積もりを取る段階で、担当者に「エアコンの室外機や給湯器はどう扱いますか」と一言聞いてみてください。それだけで、業者がどこまで現場を想定して金額を出しているかが見えてきます。答えに詰まったり、「その時考えます」といった曖昧な返事が返ってきたりする場合は、少し注意が必要かもしれません。
先日も、契約前の打ち合わせでこの質問をされたお客様がいらっしゃいました。担当者がその場で室外機の位置を確認し、養生で済むか移設が要るかをその日のうちに見積もりに反映してくれたそうです。小さなやり取りですが、こういう積み重ねが後々の安心につながるのだと感じています。