劣化診断アプリの点数を信じすぎたお客様に伝えたい外壁の話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年8月12日
最近、スマートフォンのカメラで外壁の写真を撮ると、劣化の状態を点数やコメントで教えてくれるアプリやサービスが増えてきました。便利な時代になったなと感心する一方で、その診断結果だけを信じて大きな決断をしてしまったお客様のお話を伺うたびに、少しだけ立ち止まってほしいと感じることがあります。今日はそのあたりの話をお伝えできればと思います。

①「劣化度78点、早急な対応が必要です」という表示

埼玉県にお住まいの、40代のお客様から相談のお電話をいただいたことがあります。ある無料アプリで自宅の外壁を撮影したところ「劣化度78点、早急な対応が必要」という表示が出て、夜も眠れないくらい不安になったとおっしゃっていました。実際に現地へ伺って確認させていただくと、たしかにチョーキング現象(手で外壁を触ると白い粉がつく状態)は出ていました。ただ、今すぐ足場を組まなければならないほどの緊急性ではなく、あと1〜2年は様子を見ながら計画を立てても大丈夫な状態だったんです。

点数という形で数字を示されると、それだけで危機感を持ってしまう気持ちはよく分かります。私自身も、前職で似たような不安を抱えたお客様と何十人もお会いしてきました。数字が独り歩きしてしまうと、本来じっくり検討できたはずの判断が急かされてしまうんですよね。

②アプリが見ているのは、あくまで写真の中の色や凹凸

診断アプリの仕組みを否定したいわけではありません。写真に写った色あせやひび割れを検出する技術は、この数年でかなり進んできたと感じています。ただ、写真だけでは分からないことも多いんです。サイディングの内側にどれくらい水分が入り込んでいるか、目地のコーキングがどのくらい弾力を失っているか、こうしたことは実際に指で触れたり、打診棒で軽く叩いて音を確かめたりしないと判断がつきません。

業界に身を置いて20年になりますが、現場に立って初めて分かることの多さを、今でも実感しています。写真だけで完結する診断は、あくまで最初の目安として受け止めていただくのがちょうどいいのだと思います。

③数字を営業トークの材料に使われてしまうケースも

先日も、あるお客様から「診断アプリの点数を業者さんに見せたら、その場で契約を急かされた」というご相談をいただきました。アプリの結果自体が間違っているわけではなくても、その数字を「今日中に決めないと危ないですよ」という不安材料として使うようなやり方には、違和感を覚えることがあります。

診断結果を見せた瞬間に態度が変わる営業担当者がいたら、少し距離を置いて考えてみてほしいなと思います。本来、劣化の状態を伝えることと、契約を急がせることは、まったく別の話のはずなんです。

④診断アプリは「入口」として使うくらいがちょうどいい

私がお勧めしたいのは、アプリの結果を全否定するのでも、鵜呑みにするのでもなく、あくまで「気づくきっかけ」として使う付き合い方です。点数が高く出たら、それを手がかりに何社かへ現地調査を依頼して、実際に目で見て手で触れた上での見立てを聞いてみる。逆に点数が低く出ていても、築年数や立地によっては一度専門家に見てもらう価値がある場合もあります。

技術が進歩していくこと自体は、とてもありがたいことだと思っています。ただ、その技術をどう受け止めるかは、私たち人間の側の判断に委ねられている部分が大きいんですよね。数字と、現場に立つ人の目や手、その両方を大切にしていただけたらと願っています。

業界のリアル・まとめ

診断アプリの点数は、外壁の状態に気づくきっかけとしてはとても役立つものです。ただ、写真だけでは分からないことも多く、最終的な判断は現地での実際の調査と合わせて行っていただきたいと思っています。数字に振り回されず、ご自身のペースで検討を進めていただければ幸いです。

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